バレルサウナを建てる前に確認!消防法・火災予防条例とは?サウナの設置基準を確認しよう
- 2024年10月21日
バレルサウナを設置する際には、消防法や火災予防条例などの法規制を理解して、安心して利用できる環境を作ることが大切です。
この記事では個人・法人のサウナ導入サポートも行う“サウナの専門商社”が、バレルサウナの設置時に知っておきたい消防法・火災予防条例のポイントや実際にチェックすべきポイントをわかりやすく解説します!
目次
【結論】バレルサウナ設置時は消防署に確認するのがベスト
バレルサウナの設置に関する規定は、地域によって異なることが多いです。
設置場所やストーブの種類によって適用される規制が変わるため、まずは管轄の消防署に図面やストーブの詳細を持って相談するのがもっとも確実な方法です。
サウナ設置については消防法や火災予防条例、サウナ設備設置基準など、確認すべき法令や基準が多くありますので、サウナ導入時は法令サポートまで請け負うメーカーや販売業者に任せるのが安心ですよ。
サウナの専門商社なら自宅・施設へのサウナ導入の費用や工事、法律面についても相談が可能。
是非お気軽に電話やメール・LINEで相談してみてください。
消防法とは
消防法は、火災から命や財産を守るための法律です。
これにより、建物や設備の防火対策が義務付けられており、サウナ設置時も例外ではありません。
適切な防火対策を講じることで、万が一の火災リスクを最小限に抑えることができます!
火災予防条例とは
火災予防条例は、各自治体が独自に定める火災防止のための規則です。
たとえば東京都の条例では、サウナ設備についてストーブから可燃物までの安全な距離や、壁や床の構造に関する具体的な基準が定められています。
条例内容は自治体ごとに異なるため、必ず管轄の消防署に確認し、サウナ設置時の安全基準をクリアしましょう。
消防法におけるバレルサウナの位置づけ
バレルサウナは一般的なサウナと同様に、消防法の対象となる設備の一つです。
特に火を使うまたは高温になる機器を備えているため、火災のリスクを防ぐための基準が適用されます。
消防法の基準には、
- 避難経路の確保
- サウナ室の床面積
- 出入り口の設置条件
などが含まれます。
家庭用と商用での消防法の適用の違い
家庭用サウナと商用サウナでは、消防法の適用基準に違いがあります。
商用サウナの場合、消防法の基準を満たさないと開業の許可が得られません。
2022年に消防法が改正され一部の制限が緩和されていますので、開業時は最新の内容をチェックしましょう。
サウナ設備設置基準の参考
消防法の具体的な基準を理解するのは難しいため、公益社団法人日本サウナ・スパ協会が提供する「サウナ設備設置基準」を参考にすることをおすすめします。
サウナ設備設置基準では、電気サウナストーブとガスサウナストーブを使用するサウナの設置基準が定められており、多くの自治体の消防署でも参考にされています。
バレルサウナを設置する際には、これらの基準を満たすように設計・施工することが重要です。
バレルサウナを建てる際の消防法のポイント
バレルサウナを建設する際には、特に熱源となるサウナストーブ設置に関する基準をしっかりと確認することが重要です。
以下ではバレルサウナでも多く使われる「電気サウナストーブ」の基準について、サウナ・スパ協会のサウナ設備設置基準を元に解説します。
この設置基準では、出力が30kW以下の電気サウナストーブが対象とされていますが、多くのバレルサウナで使用されるストーブもこの範囲に含まれます。
サウナ設備の基本構造
サウナ設備の基本構造と、消防法に準拠した安全な設置方法について詳しく解説します。
本体構造
サウナストーブは壁や床にしっかりと固定する必要があります。
安全装置
サウナストーブには、異常温度上昇時に自動停止する装置を設置します。
また、温度調節器や温度過昇防止器は、サウナ室の床から天井までの高さの約2/3以上の高さに設置します。
ファン使用時の安全対策
ファンを用いるサウナストーブの場合、ファンが停止した際に熱源の電源を遮断する装置を設置します。
安全柵の設置
サウナストーブに直接触れないよう、ストーブの周りに囲いや柵を設置します。
サウナストーブから天井、壁、床、椅子との距離
サウナストーブから天井、壁、床、椅子など可燃材との距離については、以下を参照してください。
離隔距離の確保
電気ストーブは、周囲の可燃物から安全な距離を確保する必要があります。
離隔距離はストーブの最大消費電力と、隔離する物が不燃材かどうかで異なります。
下記の図のAは壁や天井が不燃材でない場合、表面温度が100℃以上にならず安全とされている距離で、消防法で定められています。
bとcは壁や天井の仕上げに関係なく、火災予防上安全とされる距離です。
消費電力 | 7.5kW以下 | 7.5-15kW以下 | 15kW-30kW以下 |
A | 25cm以上 | 50cm以上 | 100cm以上 |
b | 10cm以上 | 20cm以上 | |
c | 100cm以上 |
サウナストーブの点検スペースも確保してください。
防熱板の設置
対流型放熱器や対流・遠赤外線放射併用型装置の場合、対流方向のサウナ室の天井部分には、装置の平面外形以上の寸法を持つ防熱板を天井から15㎝以上離して設置します。
避難経路の確保
通常、サウナ室は避難が可能な階に設置する必要があります。
ただし、サウナ室の床面積が30㎡以下であり特定の防火措置が施されている場合には、例外として他の階に設置することも許可されます。
床面積の制限
サウナ室及び前室の総床面積は100㎡以下に制限され、30㎡を超える場合には複数の出入口を設ける必要があります。
関連記事:家庭用サウナは賃貸でも置ける?確認しておくべき設置基準まとめ
電気配線についての基準
サウナ室の電気配線には、耐熱性と耐湿性に優れたケーブルを使用する必要があります。
具体的には、
- MIケーブル
- ケイ素ゴム絶縁ガラス編み組電線
- 上記と同等の性能を持つ電線
が推奨されます。
維持管理(保守・点検・清掃)
日常的なメンテナンスでは以下の項目を確認します。
- 運転・停止スイッチの反応
- 温度調節器の作動
- サウナストーブが設定温度通りに機能しているか
- 放熱器周辺の可燃物の除去と清掃
月に一度の点検では、次の点を確認します。
- サウナ放熱器の運転電流値
- 絶縁抵抗値
- 漏電遮断器の作動
さらに年に一度は、サウナストーブとその他の構造部分の点検を行います。
その他の項目
設置基準の詳細やここでは紹介しきれなかった設置基準、ガスサウナ設備については、「サウナ設備設置基準」を参照してください。
東京都火災予防条例のサウナ設置基準
以下では、東京都火災予防条例の「第3章 第2節 第9 サウナ設備」の内容を簡潔にまとめました。
結論としては、火災予防条例の内容はサウナ・スパ協会のサウナ設備設置基準の内容と重複する部分が多くなっています。
ただし、自治体により独自の規定があることがあるので、しっかりチェックすることが大切です。
安全基準と設置要領
サウナ室は避難が容易な階に設置し、特定の安全基準(30㎡以下の床面積など)を満たした場合には設置要件が緩和される。
対流型サウナ室は100㎡以下の床面積を持ち、耐火構造であること。
構造要件
サウナ室の壁、床、天井は耐火性を持つ材料で構築する。
熱源の周囲は燃えやすい物と接触しないよう特定不燃材料で保護し、離隔距離を遵守する。
※サウナストーブ出力別の離隔距離や不燃材についての規定は、サウナスパ協会サウナ設備設置基準と同様。
電気設備と配線
耐熱性と耐湿性を備えた電線を使用し、特定の配線方法(金属管工事など)が要求される。
電気サウナ設備は自動停止装置を設け、異常温度上昇時に電源を切断できるようにする。
消防設備と安全措置
高い建物や特定のフロアに設置する場合は、追加の消防設備が必要となる。
消火装置、火災警報器、スプリンクラーシステムを含む、火災予防に必要な設備を設置すること。
通気と排気の管理
サウナ室の適切な換気を保証し、遮熱板や防火ダンパーを用いて熱管理を行う。
消防法に準拠したバレルサウナの設置事例
サウナの専門商社で導入支援させていただいたバレルサウナです。
消防申請や図面製作、離隔距離等の申請もサポートいたしました。
こちらのバレルサウナでは薪サウナストーブを使用していますが、消防署の指示でストーブ周りにレンガを設置し安全性を高めています。
消防申請ではどんなことを指摘される?弊社の事例
弊社が製造・販売するサウナ室を搭載した軽トラック「SAUNA CAR37」のイベント出展時に、消防署に申請をしました。
常設する場合と条件は異なりますが、このケースでは消防署からは以下の点について指摘を受け、説明・対応いたしました。
- ストーブ区画の不燃材について
- 消化器の設置について
- 薪ストーブによって火がサウナ内に来るリスクについて
確認すべきその他の法律
どんな法律? | 管轄・確認先 | |
都市計画法 | 都市計画上サウナ開業可能な土地かどうか | 国土交通省管轄の都市計画課 |
建築基準法 | 建物の安全性、建物の利用用途変更の必要性 | 国土交通省管轄の建築主事 または指定確認検査機関 |
公衆浴場法 | 更衣室や男湯・女湯の区分、トイレ設置、衛生面、水の循環 ※事業用サウナのみ適用。 | 厚生労働省管轄の保健所 |
都市計画法
都市計画法は、都市の健全な発展と環境の保護を目的とした法律で、土地利用の制限や建物の設置に関する規定があります。
サウナを設置する際は、設置予定地が都市計画区域内であるかどうか、そしてその用途地域の規定を確認し、適切な手続きを踏む必要があります。
建築基準法
建築基準法は、建物の安全性や衛生、環境保護を確保するための基準を定めた法律です。
サウナを設置する場合、この法律に基づき建築確認申請が必要となることが多く、特に耐震性や防火性、避難経路の確保などの規定を満たす必要があります。
【建築基準法に基づいたサウナの設置条件】
- サウナは隣地の境界線から3m以上離すこと
- サウナは道路の中心線から3m以上離すこと
- 母屋の延床面積が約490平方メートル以上の場合、サウナは母屋の外壁の中心線から3m以上離すこと
- 建築基準法第22条の屋根の性能要件を満たすために、屋根はガルバリウム鋼板などの火災に強い素材を選ぶこと
関連記事:【建築基準法】家庭用・業務用サウナ設置時に建築確認申請は必要?
公衆浴場法
公衆浴場法は、衛生環境の維持と公衆の健康保護を目的とした法律で、公衆浴場の設置や運営に関する規定を定めています。
商用のサウナはこの法律の適用を受けることがあり、設置場所や設備の衛生管理基準を満たす必要があります。
関連記事:事業用サウナと公衆浴場法の関係
固定資産税について
バレルサウナを含む屋外用サウナは土地に固定はさせないという性質上、固定資産税における家屋の定義を満たさないため、基本的に固定資産税の対象とはなりません。
逆に言えば、バレルサウナの脚を基礎とコンクリートなどで固めて固定した場合は固定資産税の対象となる可能性がありますのでご注意ください。
固定資産税とサウナの関係については、家庭用サウナに固定資産税はかかる?税率や支払額の例も解説の記事で詳しく解説してます。
まとめ
バレルサウナの設置には、消防法や火災予防条例の遵守が不可欠です。
これらの規制を理解し適切に対応することで、安心してサウナを楽しむことができます。
ただし、現在は消防署でも家庭用サウナの設置は案件ごとに個別に対応しているケースが多く、設置基準についても見直しが検討されている状況です。
そのためサウナ設置を検討している方は、まずサウナ設置に詳しいメーカーや販売店に相談することをおすすめします。
サウナの専門商社なら自宅・施設へのサウナ導入の費用や工事、法律面についても相談が可能。
是非お気軽に電話やメール・LINEで相談してみてください。