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【簡易サウナとは?】2025年度省令改正 新しいテントサウナ・バレルサウナの防火基準について解説
- 2025年4月30日

全国でブームとなっているテントサウナやバレルサウナ。自然の中で“ととのう”体験ができると、アウトドア層を中心に一気に人気が広がっています。
しかし、この新しいサウナスタイルは、これまでの固定式サウナを想定した消防基準とはズレがありました。
今、そのギャップを埋めるため、新たな防火基準の整備が進められており、それが簡易サウナです。
新たな基準のポイントは大きく分けて以下の3つです。
- 新たに簡易サウナというサウナの概念が誕生
- サウナストーブは最大6kW以下に限定
- 離隔距離は「100℃超えない」or「引火しない」距離でOK
- 個人利用なら届出不要、商用利用は要注意
この記事では年間100以上のサウナ関連商品を納品し、サウナの設置を行う『サウナの専門商社』が、テント・バレルサウナの防火基準が今後どう変わるのか、最新の動きを解説します。
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目次
新たに「簡易サウナ」というサウナの概念が誕生
これまでサウナといえば、温浴施設やホテルの中に設置された固定式の屋内サウナが主流でした。
しかし近年のサウナブームをきっかけに、テントや木製バレルを使った“屋外設置型のサウナ”が急速に普及しています。
これらは「可搬式」「簡易型」と呼ばれ、自然の中で楽しめる手軽さや、キャンプとの相性の良さから人気です。
こうした動きを受けて、消防庁はこれまでの基準では対応できない新ジャンルとして「簡易サウナ」という新たな設備カテゴリを定義しようとしています。
現在、以下のようなタイプが簡易サウナの対象として想定されています。
- テント型サウナ:布製のテント内にストーブを設置するタイプ
- バレル型サウナ:木製で樽のような形をした、屋外設置の木製サウナ小屋
ところが、テント型やバレル型のサウナは屋外設置で、加えて素材は布や木材といった可燃性の高いものが使われています。


「簡易サウナ」は、今後の省令や条例にも正式な設置区分として追加される見込みです。
今までのサウナの防火基準
現在の防火基準は、屋内に固定設置された電気式またはガス式のサウナストーブを想定して設計されており、薪サウナストーブについては基準が定められていません。
さらに、温浴施設やホテル内のサウナのような、不燃材で囲まれた構造を前提としています。
以下のような条文により、離隔距離や設置条件が厳格に定められています。
消防法施行令 第5条
└ 可燃物から一定の安全距離を取って設置すること
└ 屋内に設ける場合は「不燃性の床」などの上に設置すること
火災予防条例(例) 第3条
└ 防火上支障がないものとして総務省令で定める場合を除き※
└ 火気設備と可燃物との距離は、基準で定められた最小距離以上を確保すること
※防火上支障がない場合とは、以下の①②のどちらかを満たす場合のこと。

サウナ・スパ協会「サウナ設備設置基準」
└ ストーブの消費電力(kW)に応じて離隔距離を設定
└ 壁・天井・ベンチなどの可燃物との距離は「A・b・c」として分類

サウナ・スパ協会 サウナ設備設置基準より引用
消費電力 | 7.5kW以下 | 7.5-15kW以下 | 15kW-30kW以下 |
A | 25cm以上 | 50cm以上 | 100cm以上 |
b | 10cm以上 | 20cm以上 | |
c | 100cm以上 |
関連記事:バレルサウナを建てる前に確認!消防法・火災予防条例をチェック
なぜ防火基準の見直しが必要になったのか?
前述したように、これまでのサウナ基準はホテルや温浴施設の屋内に設置される固定式サウナが対象で、壁・天井・床は不燃材、広い空間にストーブを設置することが前提でした。
ところが、テント型やバレル型のサウナは屋外設置で、加えて素材は布や木材といった可燃性の高いものが使われています。
たとえば、従来の基準では『可燃物との一定距離を確保』することが求められていますが、現場からは「テントのような狭い空間では、そもそもその距離を取ること自体が難しい」という声が多く上がっていました。
このズレを埋めるために、基準の見直しが必要になったのです。
新たな基準の対象者とそのメリット
【新たな基準の対象となるケース】
テントサウナ・バレルサウナ内部に出力6kW以下の電気・薪サウナストーブを、個人使用目的で設置したい場合。
➡離隔距離の規定が緩和(「100℃超えない」or「引火しない」距離でOK)。
➡個人利用なら消防への届出不要でサウナを設置できる。
【新たな基準の対象とならないケース】
・サウナ施設として運営する場合。
・サウナを有料イベントで提供する場合。
・サウナを不特定多数が利用する場合。
・出力6kW以上の電気・薪サウナストーブを設置したい場合。
➡消防法や火災予防条例、公衆浴場法が適用される可能性あり。
➡別途届け出や手続きが必要。
検討会と実験のポイント
総務省消防庁は、有識者や業界団体、消防関係者を集めた検討会を設置しました。
可搬式サウナ等の特性に応じた防火安全対策に関する検討会
第1回:2024年6月24日(月)
第2回:2024年11月8日(金)
第3回:2025年2月10日(月)
今回の検討会にあたって、消防庁主導のもとテントサウナやバレルサウナを対象に国内外の製品を使った加熱実験が行われました。
実験では
- ストーブ周囲の可燃物温度
- 煙突の温度
- 一酸化炭素濃度
などを細かく測定しています。
その結果、
- 電気ストーブ使用のテント型は安全性確認
- 薪ストーブ使用のバレル型は一部で高温リスク
という違いが見えてきました。
また、ストーブ周りに不燃材ガードを設置することで、温度上昇を抑えられる効果も確認されています。
さらに、煙突を二重構造にすることで、周囲への熱影響を大幅に減らせることもわかっています。

こうしたデータをもとに、より実態に即した新たな基準が検討されています。
これから簡易サウナはどう変わる?新たな防火基準案
今回の検討をもとに、簡易サウナ向けに専用の防火基準案がまとめられました。
新たな基準のポイントは大きく分けて以下の3つです。
- サウナストーブは最大6kW以下に限定
- 離隔距離は「100℃超えない」or「引火しない」距離でOK
- 個人利用なら届出不要、商用利用は要注意
①サウナストーブは最大6kW以下に限定
今回の新しい基準では、最大出力6kW以下の薪ストーブ・電気ストーブが簡易サウナ用として想定されています。
そのため、これからテントサウナ・バレルサウナを導入する場合は6kW以下かどうかをひとつのチェックポイントにしておくと安心です。
6kWを超えるストーブを使用する場合は、別途、消防への確認や個別対応が必要となります。
出力6kW以下の電気・薪サウナストーブ
新たな基準の対象となる出力6kW以下は、電気サウナストーブの場合、~6㎡程度(最大7名用程度)のサウナ室を温めるのにちょうどいい出力です。
自宅用サウナに電気サウナストーブを使用する場合は、その多くが6kW以下に該当するでしょう。
電気サウナストーブの場合
電気ストーブは、基本的に商品説明に「出力○kW」と明記されています。
出力6kW以下に該当する電気サウナストーブには、たとえば以下の製品があります。
MySauna
ブロスサウナ
MISA
Harvia
薪サウナストーブの場合

一方、薪ストーブは事情が少し異なります。
ネット上で流通している小型薪サウナストーブでも出力は12kW前後が一般的で、6kW以下に該当する薪ストーブは非常に限られています。
また、薪サウナストーブは
- 薪の乾燥具合
- 薪に含まれる油分
- 使用環境(屋外・湿度など)
によって発熱量が大きく変動するため、電気ストーブのように正確なkW数を一律に商品に記載するのが難しいのが現状です。
そのため、薪ストーブの出力を知りたい場合は、メーカーに個別で問い合わせが必要になります。
②離隔距離は「100℃超えない」or「引火しない」距離でOK
従来は「広い離隔距離」が必須でしたが、簡易サウナでは実際の素材や構造に応じて柔軟に対応できるようにします。

基準の変更により、「可燃物表面が100℃超えない」か「引火しない(可燃物の表面温度が200℃~300℃を超えない)距離」なら設置OKということになります。
③個人利用なら届出不要、商用利用は要注意
これまでは、簡易サウナの仕様であってもストーブを使うことで火災リスクがあると見なされたり、公共スペースで使用したりする場合は、事前に消防署へ届出が必要でした。
しかし、個人の趣味で使うテントサウナ・バレルサウナであれば、設置に関する届出は不要になります。
ただし、有料イベントや施設利用など、不特定多数が利用にする場合は、状況に応じて公衆浴場法が適用される可能性があり、別途届け出や手続きが必要になりますので、確認が必要です。
まとめ|省令改正は2025年度中に予定

今回の防火基準の見直しは、2025年度中に省令改正される予定です。
テントサウナやバレルサウナの事業者・利用者は、これからの新基準にしっかり備えていきましょう。
ルールを守って安全に、そしてもっと楽しく、これからのサウナライフをより安心なものにしていきたいですね。
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参考文献:
JIJI.COM「テントサウナに安全基準 狭い空間でのストーブ設置―総務省消防庁」
総務省消防庁「「可搬式サウナ等の特性に応じた防火安全対策に関する検討会報告書」の公表」
総務省消防庁「前回(第2回)検討会における意見まとめ」
総務省消防庁「追加検証実験に関する報告について」
総務省消防庁「可搬式サウナ等の特性に応じた防火安全対策に関する検討会報告書(案)概要版」