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水風呂用ろ過装置の選び方と公衆浴場法対応、ランニングコスト・初期費用を解説

  • 2025年3月12日
水風呂

サウナ施設の開業準備を進める中で、「公衆浴場法ではろ過装置が必要と言われたけど、具体的にどう選べばいいんだろう?」と悩む方も多いのではないでしょうか。

この記事では、数十のサウナ・水風呂施工を行ってきた“サウナの専門商社”が、ろ過装置の基本的な役割から種類別の特徴、さらにコストに関する情報までをわかりやすく解説します。

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サウナ施設の水風呂にも「ろ過装置」が必要

サウナ施設を運営する際、忘れてはならないのが「ろ過装置」の導入です。

公衆浴場法の規定により、毎日水を交換・清掃しない場合、ろ過装置の設置が必須となっています。

公衆浴場における衛生等管理要領等
公衆浴場における衛生等管理要領等を参照

実際、ほぼすべての温浴施設では浴槽の水質管理を行うためにろ過装置が導入されています。

ろ過装置が必要な理由は大きく2つ。「衛生管理」「法律遵守」です。

利用者に清潔で安心な環境を提供するためにも、適切な設備が求められます。

公衆浴場法で求められる水質基準を満たすため

公衆浴場法では、施設の水質を維持するために厳しい基準が設けられています。

具体的には、浴槽の水に対して以下のような基準があります。

  • 濁度(水の透明度):2度以下
  • 色度(水の色の度合い):5度以下
  • レジオネラ菌:10CFU/100ml未満
  • 塩素濃度:0.4~1.0mg/L(細菌の増殖防止)
  • pH:5.8~8.6の適正範囲

これらの基準をクリアするには、ろ過装置や塩素薬注機の設置が欠かせません。

清潔な水質を保つことで、利用者の安全と施設の信頼を守ることができます。

水質維持・コスト削減のため

過機は水中の細菌や汚れを除去し、清潔な水環境を維持します。

特に問題となるのがレジオネラ菌。この菌が繁殖すると、細かい水滴を吸い込んだ利用者が「レジオネラ症」を発症する危険があります。

この感染症は高熱や肺炎を伴い、重症化すると致死率15~30%と非常に危険です。

特に高齢者や免疫力の弱い方へのリスクを考えると、細菌繁殖の抑制は避けられません。

ろ過装置やチラーをつなぐ循環系統に自動塩素注入機能を追加すれば、塩素濃度を適切に保ち細菌の繁殖を防ぐことが可能です。

また、ろ過装置を導入すれば水交換は週に1回でよくなりますので、水道代や電気代、清掃コストを削減できます。

運営費用を抑えつつ衛生管理ができるのは大きなメリットです。

ろ過装置導入のメリットは、水風呂にろ過装置を導入する目的とメリット|サウナ施設や家庭での導入ポイントを徹底解説の記事でも深掘りしています。

ろ過装置の導入費用

ろ過装置の導入費用は、規模や機能によりますが、100万~500万円が相場です。

初期費用は高額ですが、ろ過装置は15~20年使用可能で、長期的に見れば非常にコストパフォーマンスの良い選択肢です。

導入費用は何年で回収できる?

以下に、例として2,000リットルの水風呂に300万円のろ過装置を導入する場合で、ろ過装置あり/なしの累計コストを比較しました。

▶前提条件

年間ろ過装置なしろ過装置あり
水風呂の交換頻度毎日週1
チラー電気代水を替えるたびに目標温度まで
下げる必要があるため余計にかかる
1週間冷えた水を
使い続けることができる
人件費清掃を毎日1時間、
}時給1,000円のスタッフが1人で実施
清掃を週1回1時間、
時給1,000円のスタッフが1人で実施
ろ過装置電気代発生

・水道代は0.2円/Lとする。
・電気代は30円/1kWhとする。
・交換前の水温が年間平均16.8℃で、チラーで冷却・維持する目標水温は15℃とする。

年間ろ過装置なしろ過装置あり
水道代
(浴槽2,000Lの場合)
146,000円20,800円
チラー電気代
(単相200V300Wの場合)
721,167円327,382円
清掃人件費365,000円52,000円
ろ過装置電気代
(単相200V1200Wの場合)
300,000円
ろ過装置メンテナンス費用
(フィルター交換等)
50,000円
年間合計1,232,167円750,182円
※光熱費や管理費はあくまで一例であり、実際の金額は施設の利用状況や設備条件によって異なります。

年間のランニングコストは、ろ過装置を入れたほうが約48万円もお得

累計コストの比較

15年間、ろ過装置がある状態とない状態で運用を続けた場合の、累計コストを比較します。

項目ろ過装置ありろ過装置なし
15年間の累計コスト14,047,888円18,270,513円
※金額はあくまで一例であり、実際の金額は施設の利用状況や設備条件によって異なります。

初期費用を含めた累計コストでは、ろ過装置を入れたほうが15年間で約400万円もお得

水風呂用ろ過装置の選び方

ろ過装置を選ぶ際は、施設の規模や法律の基準に適した製品を選ぶことが重要です。

具体的には、以下の3点を確認する必要があります。

  • 地域の公衆浴場法に沿った製品を選ぶ
  • ろ過装置の種類で選ぶ
  • ろ過装置の容量で選ぶ

地域の公衆浴場法に沿った製品を選ぶ

公衆浴場法は、国の法律として定められています。

ただし、その施行にあたっては、各都道府県や市区町村ごとに詳細な条例や規則が定められている場合があります。

ここでは、港区の公衆浴場法を例として紹介しながら、注目すべき用語を解説します。

十 ろ過器その他の設備(以下「ろ過器等」という。)を使用して浴槽水を循環させるときは、次の措置を講ずること。
イ ろ過器は、区規則で定めるところにより、定期的に逆洗浄等を行い、生物膜等ろ材に付着した汚れを除去するとともに、内部の消毒を行うこと。
ロ 浴槽水を循環させるための配管は、区規則で定めるところにより、定期的に内部の消毒を行うこと。
ハ 集毛器は、区規則で定めるところにより、定期的に清掃を行い、内部の毛髪、あか、ぬめり等を除去すること。
ニ 浴槽水は、塩素系薬剤により消毒を行い、遊離残留塩素濃度が一リットルにつき〇・四ミリグラム以上になるように保つこと。ただし、これにより難い場合には、区規則で定めるところにより消毒を行い、レジオネラ属菌が検出されない水質を維持すること。
ホ 浴槽水については、区規則で定めるところにより、定期的に水質検査を行うこと。

(中略)

三十四 ろ過器等を使用して浴槽水を循環させる場合には、次の構造設備の基準によること。
イ ろ過器は、十分なろ過能力を有し、ろ過器の上流に集毛器が設置されていること。
ロ ろ過器のろ材は、十分な逆洗浄が行えるものであること。ただし、これにより難い場合には、ろ材の交換が適切に行える構造であること。

港区公衆浴場法施行条例

 

逆洗浄とは

逆洗浄とは、ろ過装置の内部に溜まった汚れや不純物を洗い流して清掃する方法を指します。

通常のろ過工程では水が一方向に流れて汚れを取り除きますが、逆洗浄ではその水流を逆方向にすることで、ろ過材に付着したゴミやバイオフィルム(ぬめり)を効果的に除去します。

通常のろ過
逆洗浄時

使用状況により異なりますが、公衆浴場法では週1回以上が推奨される場合が多いです。

逆洗浄は、『砂ろ過式』のろ過装置が対象で、『カートリッジ式』のろ過装置には逆洗浄機能はなく、カートリッジ交換が必要になります。

集毛器とは

集毛器(ヘアキャッチャー)とは、浴槽水を循環させる際に配管内へ流れ込む毛髪やゴミをキャッチするための装置です。

集毛器は毛髪やゴミがろ過装置や循環ポンプに詰まるのを防ぎ、ろ過装置やポンプの寿命を延ばしてくれます。

設置場所としては、ろ過装置の上流に設置されます。

集毛器は、毎日清掃が必要です。

ちなみに、業務用施設では法律で集毛器の設置が義務付けられていますが、個人用では省略される場合もあります。

遊離残留塩素濃度とは

遊離残留塩素濃度とは、水中に残留する殺菌効果を持つ塩素の濃度を指します。

この基準は、水質を衛生的に保つために公衆浴場法で規定されています。

塩素には細菌やウイルスを殺菌する効果があり、適切な濃度に保つことでレジオネラ菌や大腸菌などの繁殖を抑えます。

公衆浴場法では、遊離残留塩素濃度0.4mg/L以上が推奨されています。

しかし、塩素濃度が高すぎると塩素臭や肌荒れ、目の刺激といった問題も生じるため、0.4~1.0mg/Lの範囲で維持することが必要です。

銭湯や温浴施設で、スタッフが浴槽の水を掬って何かを確認している姿を見たことがある方も多いかと思いますが、あれは塩素濃度を測定しているのですね。

塩素濃度の測定は、1日3回以上行うことが推奨されています。しかし、人が入ると塩素濃度は減少するため、特に利用者の多い施設では、測定頻度をさらに増やす必要があります。

十分なろ過能力とは

公衆浴場法では「浴槽内の水を1時間以内に1回循環ろ過できる能力」が求められています。

浴槽容量が2,000リットルであれば、ろ過装置の能力は2,000リットル/時間(2立方メートル/時間)以上が必要です。

実際はより安全な運用のため、浴槽容量の2~3倍の処理能力を持つろ過装置を導入している施設が多いです。

利用者の数や施設の規模によって、必要な能力が変動します。

適切なろ過能力を確保することで、濁りや汚れを取り除き、清潔な水環境を維持しましょう。

ろ過装置の種類

先ほど、逆洗浄機能について触れる中で『砂ろ過式』と『カートリッジ式』のろ過装置について軽く紹介しましたが、ここではそれぞれの特徴をもう少し詳しく解説します。

砂ろ過式

砂ろ過式は、砂や砂利を使って水をろ過し、汚れや不純物を取り除く方式です。

このタイプは大規模な施設向けに設計されており、長時間にわたって安定した濾過能力を発揮します。

逆洗浄機能が搭載されているため、定期的な清掃が効率的に行え、維持管理が簡単なのも特徴です。

そのため、浴槽の容量が800リットル以上ある施設や、多量の水を扱う温浴施設やプールで広く利用されています。

多くの水を効率的に処理できることから、施設運営において高い実用性を持つ方式です。

カートリッジ式

一方、カートリッジ式は専用のカートリッジを通して水をろ過する方式で、微細な汚れや異物をしっかりキャッチします。

小型でコンパクトな設計のため、家庭用や小規模施設に適しており、特に300リットル程度の小さな水風呂に最適です。

カートリッジの交換が簡単で、半年に1回程度の交換が目安となります。

カートリッジ

砂ろ過式に比べ設置スペースを取らず、カートリッジ1本あたり約2,000円という手頃な価格も特徴的です。

ただし、カートリッジ式には逆洗浄機能が搭載されていません

そのため、地域の公衆浴場法で「逆洗浄機能のあるろ過装置」が義務付けられている場合には、砂ろ過式を選ぶ必要があります。

たとえば、港区の公衆浴場法では
「ろ過器のろ材は十分な逆洗浄が行えるものであること。ただし、これが難しい場合には、適切なろ材交換が可能な構造であること」
と規定されています。

このような場合、カートリッジ交換が逆洗浄とみなされるケースもありますが、地域の条例や保健所の判断次第となるため、事前の確認が重要です。

カートリッジ式ろ過装置は、本体が砂ろ過式よりもコンパクトなため、設置スペースが限られている環境でも対応しやすい点が魅力です。

ろ過装置の容量で選ぶ

ろ過装置の容量とは、ろ過装置が一定時間内に処理できる水量を指します。

具体的には、ろ過装置が1時間あたりに循環・ろ過可能な水の量(リットルまたは立方メートル)で表されます。

公衆浴場法では、浴槽の全容量の水を1時間以内に1回循環ろ過できる能力が必要ので、法律や運用条件に合うモデルを選ぶ必要があります。

「ろ過装置」が不要になるケースも

ろ過装置の設置義務は、

  • 業種(公衆浴場・旅館業・民泊業など)
  • 営業形態(宿泊者限定・不特定多数の利用など)
  • 地域ごとの条例

によって異なります。

たとえば宿泊者のみが利用する浴槽や、毎日完全に換水・清掃を行う場合などは、ろ過装置が不要と判断されるケースもあります。

しかし、具体的な基準は各自治体の保健所や管轄機関によって異なるため、一概に「不要」とは言い切れません。

施設の種類や運用方法に応じた対応が必要となりますので、詳しくはお気軽にお問い合わせください。

水風呂用ろ過装置導入なら「水風呂・チラードットコム」まで!

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この記事で、ろ過装置の必要性とメリットをご理解いただけたと思います。

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