サウナでの脱水症状に注意!科学データに基づく正しい水分補給と安全な入り方
- 2025年7月25日

「サウナに入ったあと、なんだか頭がボーッとする」
実はそれ、脱水症状のサインかもしれません。
サウナは心地よい反面、短時間で大量の汗をかくため、知らぬ間に体の水分バランスが崩れることも。
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目次
サウナで脱水症状が起きるのはなぜ?
人の体は約60%が水分でできていて、血液やリンパ液、消化液などの体液が体の働きを支えています。これらの体液は「出る水分と入る水分のバランス」が取れていることで健康を維持しています。
しかしサウナではこのバランスが一気に崩れます。なぜなら、高温環境で短時間に大量の汗をかき、水分と一緒に塩分(電解質)も流れ出てしまうからです。
実際、2019年にポーランドで行われた研究では、10分×4セットのサウナで平均0.65kg(=約650ml)の体重減少が確認されました。
つまり、体重60kgの人なら600ml以上の汗を失っている計算。
体重の1〜2%の水分を失うだけで、集中力や運動パフォーマンスが落ちると言われています。
さらに2014年の別のポーランド研究によると、ドライサウナでは平均0.72kgの減少、スチームサウナでは0.36kgの減少と、乾燥したサウナほど脱水が進みやすいことがわかっています。
「サウナで体重が減った!」と喜ぶ前に、それがただの“水分ロス”であることを忘れないようにしましょう。
参考研究:
「サウナで体重減」は危険な勘違い?若年男性45人の研究でわかった実態
ドライサウナとスチームサウナ、体への負担が大きいのはどっち?|ポーランドの研究をもとに解説
脱水症状のサインとは?サウナ中・後に注意すべき体の変化

サウナ中やその後、「ちょっと変かも」と思ったら、それは体からのSOSかもしれません。
〈軽度のサイン〉
- 唇や口の中がカサカサ
- 汗をかいているはずの脇がなぜか乾いている
- 皮膚をつまんでもすぐに戻らない
- ボーッとしたり、うとうする(傾眠傾向)
- 手足の冷えや、ふらつき、めまい
こうした症状は、脱水の初期段階。気づきにくいケースもあるので、自分だけでなく周りの様子にも目を配りましょう。
〈中度のサイン〉
- 頭痛や吐き気
- トイレの回数が減る
- 体重が急に落ちる
- 嘔吐や下痢などの体調異常
ここまでくると、水分と塩分の両方が不足しており、身体はかなりつらい状態です。
〈重度のサイン〉
- 呼びかけに反応しない
- 意識がもうろうとする
- 痙攣や意識喪失
このレベルになると、すぐに医療機関を受診する必要があります。
たかが汗と侮らず、体のサインにしっかり耳を傾けましょう。
サウナの水分補給はいつ・どれくらい・何を飲むべき?

サウナでの「ととのい」を安全に楽しむためには、適切な水分補給が欠かせません
タイミング・量・飲み物の種類まで、正しく知って体調管理を万全にしましょう。
ここでは以下のそれぞれについて、詳しく解説します。
- 水分補給のタイミング
- 水分補給の量
- 飲み物の種類
- サウナ後のビールは危険!?NGな飲み物
水分補給のタイミング
水分はこまめに、サウナ前からスタート!
サウナ前・外気浴中・サウナ後と、定期的に少量ずつ水分を摂るのが理想です。
一度にたくさん飲んでも吸収されず、排出されてしまうことがあるため、体に優しいのは意識的に少しずつ補給することです。
また、サウナ後に一気に水を飲みすぎると、「水中毒」と呼ばれる状態に陥ることも。
血液が薄まり、めまいや頭痛、吐き気、下痢、多尿などの症状が現れる恐れがあります。
特に短時間に1リットル以上飲むのは危険なので、サウナ前からこまめな水分補給を意識しましょう。
水分補給の量
水分補給の量の考え方としては、汗の量を上回るよう、余裕を持った水分補給をしましょう。
サウナでは短時間で500〜700mlほどの汗をかくこともあります。
目安としては、1回のセッション後に200〜300ml程度の補給が推奨されます。
2024年に日本で行われた研究では、サウナ後の水分補給には経口補水液が最も効果的だと示されました。
ミネラルウォーターよりも吸収スピードが早く、体内に水分がとどまりやすいという結果が出ており、体調回復にも優れた効果を発揮します。
参考研究:サウナ後の水分補給は「経口補水液」が効果的|ミネラルウォーターとの比較研究で明らかに
飲み物の種類
サウナの水分補給で摂る飲み物は、水や経口補水液を基本に、ノンカフェイン・ノンアルコールを選びましょう。
◎水
◎経口補水液
◎ノンカフェインのお茶
×カフェインを含むお茶、コーヒー、エナジードリンク
×アルコール飲料
避けたいのは、カフェイン入りの飲み物やジュース類。
特に利尿作用のあるコーヒーや緑茶は、せっかく補給した水分をすぐに排出してしまうので、サウナ直後は控えましょう。
サウナ後のビールは危険!?NGな飲み物
サウナ後のアルコールは、実は脱水を一気に悪化させる要因となります。
これはアルコールには利尿作用があり、水分補給にならないためです。
加えて判断力も鈍るため、転倒や事故のリスクも上がります。
2018年に韓国で行われた研究では、サウナでの死亡者の74%が飲酒後の「酩酊状態」だったと報告されています。
特に男性では、うつ伏せで意識を失い、そのまま死亡していたケースが多数確認されました。
「ととのい」にビールをセットにするのは危険。
命を守るなら、サウナ後の一杯はノンアルか、水分補給を済ませた後にゆっくり楽しむのが鉄則です。
参考研究:サウナ死亡者の7割超が飲酒後・酩酊状態|韓国の103の死亡例を分析した研究
脱水を防ぐ!サウナの入り方と水分補給のコツ

脱水症状を避けながらサウナを楽しむには、「入り方」も大事なポイント。
水分補給とあわせて、以下の基本ルールを押さえておきましょう。
■ サウナに入る前は、体調をチェック!
めまいや強い空腹、満腹、睡眠不足、飲酒後、体調不良があるときはサウナは避けましょう。
■ 食後すぐのサウナはNG!
血液が消化に使われるタイミングで入ると、胃腸に負担がかかり消化不良のもとに。
食事はサウナ利用の2時間前までに済ませるのが安心です。
■ 高温・長時間はNG。ムリせず短時間を数セットで。
「我慢比べ」ではなく、自分の体と相談しながら。
のぼせやすい人は低い段に座り、1セット10分以内、最大でも3セットまでに抑えると安心です。
■ サウナ・水風呂・休憩の合間にも、こまめに水分補給!
特に外気浴中は水分が不足しがちなので、少しずつでも飲み続けることが脱水予防につながります。
特にサウナでの脱水に注意すべき人とは?

サウナは健康に良い反面、体への負荷も大きいため、特定の人は特に脱水への注意が必要です。事前に自分の体調や状況をしっかり見極めて、安全に楽しみましょう。
①心疾患・高血圧・糖尿病の方は、必ず医師と相談を。
サウナの高温は心臓や血管に大きな負担をかけます。
これらの疾患がある方は、脱水による血液の粘度上昇で、さらにリスクが高まる可能性があるため、医師の許可を得てから利用するのが安全です。
②妊娠中の方も注意!
サウナ中の高体温が胎児の発育に影響を及ぼす可能性があるため、妊娠中の方は原則としてサウナを避けましょう。
③高齢者・子どもは体温調節がうまくできず、リスクが高い。
2011年に日本で行われた研究では、60歳以上の高齢者が40℃以上のお湯やサウナに長く入ると、熱中症や失神などの事故につながる可能性があると報告されました。
特に岩盤浴は熱を感じにくいため、つい長時間過ごしてしまう点も危険です。
④BMIが高めの人は、汗の量が多くなりやすい。
2015年のポーランドの研究によれば、サウナによる発汗量はBMIが高い人ほど多く、痩せ型の人の約2倍にのぼるケースも。
体重の大きな変化=水分の大量損失であり、脱水リスクは明らかに高まります。
参考研究:
入浴による高齢者の熱中症のリスクをまとめた研究|サウナや岩盤浴の注意点も解説
痩せ型と太り気味、サウナでの発汗量はどう違うのか|体格別・発汗量の実験結果
サウナで脱水症になってしまったときの対処法

万が一、サウナで脱水症状が出た場合は、段階に応じた適切な対処が重要です。
状態を見極めて、落ち着いて対応しましょう。
〈軽度の場合〉
喉の渇きやフラつき程度なら、経口補水液で速やかに回復を。
軽い脱水症では、水分と一緒に失われた電解質(ナトリウムやカリウム)も補う必要があります。
経口補水液がもっとも効率的で、体内への吸収もスムーズです。
※市販の経口補水液がない場合は、水1Lに塩3g+砂糖20~40g+レモン果汁少々で代用OK。
※発症から4時間以内に、体重1kgあたり30〜50mlを目安に飲ませましょう。
水だけで対応する場合は、1日2Lを目安に、こまめに飲ませるようにしてください。
〈中度の場合〉
頭痛や吐き気、脱力感があるなら“中度”と考えて対処を。
この段階では、より多くの水分・電解質補給が必要です。
経口補水液を体重1kgあたり100mlのペースで、できるだけ早く(4時間以内)与えましょう。
※下痢がある場合:1回の排泄につき体重1kgあたり10ml
※嘔吐がある場合:吐いた量と同じだけの経口補水液を補給
症状が落ち着いてきたら、軽度の場合と同様のケアへ移行します。
〈重度の場合〉
意識がもうろうとしたり、けいれんが起きたら、すぐに病院へ。
このレベルになると、経口補水では間に合わず、点滴などの医療処置が必要です。
自己判断せず、すぐに救急車を呼ぶか、最寄りの医療機関へ搬送しましょう。
命に関わる状態なので、「待つ」のは絶対にNGです。
関連記事:サウナで熱中症になることはある?暑熱順化との関係・症状・対策を徹底解説
まとめ|安全な水分補給でサウナを健康的に楽しもう

サウナは心身のリフレッシュにぴったりな時間ですが、油断すると脱水症や熱中症のリスクもあります。
だからこそ、水分補給のタイミング・量・飲み物の選び方まで、しっかり押さえておくことが大切です。
自分の体と正しく向き合って、安全で心地よいサウナライフを楽しみましょう。
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参考文献:
賴岡クリニック「それ、脱水症状では?」(アクセス日:2025/7/25)
医療法人 澄心会 豊橋ハートセンター「水中毒って何?熱中症対策には注意が必要です。」(アクセス日:2025/7/25)
Robert Podstawski ら(ポーランド・ウォルミア・マズールィ大学)(2019年)「Correlations between Repeated Use of Dry Sauna for 4 x 10 Minutes, Physiological Parameters, Anthropometric Features, and Body Composition in Young Sedentary and Overweight Men: Health Implications」
W. Pilch 他(ポーランド・クラクフ体育大学)(2014年)「Comparison of physiological reactions and physiological strain in healthy men under heat stress in dry and steam heat saunas」
今西隆浩 ほか(日本)(2024年)「サウナ浴による健常成人熱中症・脱水状態モデルにおける『スムーズイオン 経口補水液』の水・電解質補給効果」
Kyung-Moo Yang ら(韓国国立科学捜査研究所)(2018年)「Characteristics of sauna deaths in Korea in relation to different blood alcohol concentrations」
井奈波良一(岐阜大学 医学部 総合病態・予防医学講座)(2011年)「入浴と熱中症」
Bartłomiej P. Gmiat ら(ポーランド・Gorzów Wielkopolski 大学)(2015年)「Sauna-Induced Body Mass Loss in Young Sedentary Women and Men」
Beat Knechtle 他(スイス、ポーランド、ブラジル、イギリス等)(2024年)「Cold Water Swimming—Benefits and Risks: A Narrative Review」