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自宅用サウナの設計・構造入門|最適な寸法から材料選びまで詳しく解説
- 2024年9月19日
DIYでサウナを作る際には、設計や材料選びに関する基本的な知識が必要です。
また、自宅用サウナを選ぶ場合もサウナの構造について知っておくことで、より快適で安全な製品を選ぶことができます。
この記事では、サウナの種類による構造の違いから、設計の流れ、最適な寸法、材料選びのポイント、注意すべき法律まで詳しく解説します。
初めてサウナを設置する方でも分かりやすいように、図解や画像を多く用いて、具体的なステップや注意点を盛り込みました。
ぜひ、満足いく自宅用サウナを実現するためのガイドとしてお役立てください!
目次
サウナの種類による構造の違い
まずはじめに、
- 屋内用ボックス型サウナ
- 屋外用ボックス型サウナ
- バレルサウナ
のそれぞれの構造の違いを解説していきます。
屋内用ボックス型サウナ
屋内用ボックス型サウナは、リビングや洗面所などの屋内に設置される木製のサウナです。
壁の中には断熱材が入っており、加えて屋内設置ということで風雨の影響を受けませんので断熱性・保温性・耐久性が高いのが特徴です。
屋内設置のサウナの場合、サウナが完全に箱型になっている床ありタイプと、床がなくフローリングなどの上に直接置いて使うタイプがあります。
床なしタイプのサウナを設置する場合は、床材が湿気や高温に耐えられるものである必要があります。
屋外用ボックス型サウナ
屋外用ボックス型サウナの場合は、天候や環境に対応するための構造が必要です。
特に屋外用サウナでは、断熱材が重要な役割を果たします。
壁や天井に断熱材を適切に使用することで、外気温に左右されずに快適なサウナ環境を維持できます。
また、壁にはガルバリウム鋼板や防腐処理が施された木材が適しています。
さらに屋外用サウナを設置する場合は、基礎工事が必要になることがあります。
基礎はサウナを安定させ、地面からの湿気を防ぐためのものです。
基礎工事ではサウナの設置場所をコンクリートで固めたり、ブロックを配置したりします。
最後に、屋外用サウナでは薪ストーブの使用も可能です。
薪ストーブを設置する場合は煙突を設置し、煙の排出経路を確保する必要があります。
薪ストーブは電気工事不要で設置できるため、グランピング場など自然の中に屋外用サウナを設置する際も導入しやすいストーブです。
関連記事:サウナストーブの熱源は5種類!電気/薪/遠赤外線/ガス/スチームのメリットデメリット
バレルサウナ
バレルサウナはその名の通り樽(barrel)型のサウナで、独特のデザインと構造が特徴です。
基本的にバレルサウナは、木板の一層構造で壁に断熱材を使用しないことが多いです。
そのため、木材が湿気や風雨の影響を受けやすくなり、特に低品質なバレルサウナだと隙間風や雨漏りが発生する場合があります。
そんなバレルサウナの耐久性や断熱性能を向上させるために、近年では壁が二層構造になっているバレルサウナも登場しています。
二層構造のサウナ断熱材を木板で挟む形で作られており、温度をより均一に保つことができ木材の寿命も長くなります。
また、バレルサウナは屋根材を付けることで木材を直接の雨から守ることができますので、屋根やカバーの設置はマストと言えます。
バレルサウナの屋根材には、アスファルトシングルやアスファルトルーフィングなどが使用されます。
最後に、バレルサウナも屋外に設置することが多いため、屋外用ボックス型サウナと同様に基礎工事が必要な場合があります。
バレルサウナでも、薪ストーブを使用することが可能です。
サウナ設計の流れ
- 設置場所のサイズを測る
- 簡単なイメージ図を描く
- 詳細な設計図を書く
設置場所のサイズを測る
まず、サウナを設置する場所のサイズを正確に測ります。
設置場所の寸法をしっかり計測することで、サウナ本体のサイズや必要な部材の寸法を正確に把握することができます。
この作業は、サウナを実際に設置する際のトラブルを防ぐために非常に重要です。
設置場所の高さ、幅、奥行きなどを測り、記録しておきましょう。
簡単なイメージ図を描く
次に測った寸法を基に、頭の中にあるサウナのイメージを簡単な図に描き出しましょう。
フリーハンドで手書きで良いので、サウナの大まかな形や配置を描きます。
この段階では寸法は正確でなくて構いません。
イメージ図を描くことで、設計図を描く際の方向性が明確になり、作業がスムーズに進みます。
詳細な設計図を書く
最後に簡単なイメージ図と設置場所の寸法を基に、詳細な設計図を描きます。
必要な設計図は以下の3種類です。
- 平面図:上から見たサウナのレイアウト。ドアの位置、ベンチの配置、ストーブの位置など
- 正面図:前面から見た図。ドアや窓の位置、高さ、ベンチの高さなど。
- 側面図:側面から見た図。全体の高さ、壁の構造、ストーブの配置など。
これらの設計図を正確に描くことで、サウナの施工がスムーズに進みます。
また、設計図を元に必要な材料のリストを作成し、無駄なく効率的に材料を揃えることができます。
設計図については、【設計図あり】自宅にサウナ小屋をDIY!自作する手順や図面の書き方の記事でも解説しています。
サウナ室の最適な寸法
自宅用サウナを設置する際には、サウナ室の寸法を適切に設定することが重要です。
以下は、ボックス型サウナの平均的なサイズです。
サイズ (幅 x 奥行) | 人数 |
---|---|
0.9m x 0.8m | 1人 |
1.2m x 1.2m | 2人 ぴったり |
1.5m x 1.5m | 2-3人 |
1.8m x 1.8m | 4人 |
2.1m x 2.1m | 5人 |
2.5m x 2.5m | 7人 |
【寸法の考え方と注意点】
- 使用人数や使用方法に応じたサイズにする
- 快適なベンチの配置を検討する
- 安全に使用できるサイズ・レイアウトにする
- 水風呂(冷水シャワー)や外気浴への導線も考え設置スぺースを検討する
1人用のサウナは価格が安くコンパクトなので人気がありますが、実際使ってみたところ想定より窮屈でくつろげない…と後悔している方もいらっしゃいます。
コンパクトなサイズのサウナを選ぶ際は、窓付きの製品にして閉塞感を緩和するのがおすすめです。
また、1人で使用する場合も2~3名用の製品を選ぶことで広々とリラックスしたり、サウナの中で寝転ぶことができますのでこちらもおすすめできます。
さらに、サウナストーブが肌に当たるようなレイアウトになると火傷や事故の原因になりますので、サウナ室のサイズやレイアウトについては安全性の面からも検討する必要があります。
最後に、サウナをより快適に使用するために、水風呂やシャワー室、外気浴への導線も考えて設置場所を検討するとよいでしょう。
この時、設置場所によりサウナ室のサイズもある程度決まってくると思いますが、オーダーメイドサウナなら設置場所に合わせて柔軟にサイズや形を決めることができます。
オーダーメイドというと価格が高くなる点がネックと感じる方も多くいらっしゃると思いますが、「サウナの専門商社」のオーダーメイドサウナなら、既製品と同価格帯で図面から完全オリジナルのサウナが作れますのでおすすめです。
オーダーメイドサウナについては、家庭用・事業用サウナをオーダーメイドしたい!特注するメリットや導入事例の記事で詳しく解説していますので、気になる方は参考にしてください。
サウナの構造要素
サウナの構造要素には、
- 壁
- 天井
- 床
- ドア、窓
- 断熱材
- 給排気口
- サウナストーブ
- ベンチ
などがあります。
以下では、これらに関して特に知っておきたいポイントをまとめました。
壁、天井には断熱材を入れる
断熱材はサウナ内の熱を逃がさず、温度を効率的に保つ役割を果たします。
前述したように木材のみで作るバレルサウナはその構造上、断熱材を入れないことが多いですが、ボックス型のサウナではそのほとんどに断熱材が使用されています。
DIYでサウナ小屋を作る場合も、断熱材をしっかりと入れることで快適でエネルギー効率の良いサウナが実現できます。
ドアと窓を設置する
サウナのドアや窓は、サウナ室内に光を入れたり換気するために重要な役割を果たしますが、ガラス面には断熱効果がないため大きいほど熱が逃げやすくなります。
海外製サウナでよく見るガラス面が大きいサウナは、保温性・断熱性が不十分で、全く温まらないという声も見られますのでご注意ください。
海外製サウナについては、海外製家庭用サウナを日本で使う際は安全性・品質・法律遵守に要注意の記事で解説しています。
また、木製のドアを使用する場合、木がサウナ室の空気や外気に含まれる水分を吸収して膨張し、開閉が難しくなることがあります。
これを防ぐために、木製ドアは枠よりも一回り小さいサイズ(約5mm程度)で作ることが推奨されます。
ドアを小さくしたことで開いた隙間は戸当たりをつけ埋めれば、サウナ室の保温性も保たれます。
既製品のサウナでは、ドアと同じ面に小さな窓がついていることが一般的ですが、DIYやオーダーメイドサウナなら、異なる配置やサイズの窓を設置したい位置につけることができます。
給気口、排気口の設置
サウナ内の空気の質を保つためには、適切な給気口と排気口の設置が欠かせません。
空気が循環しないと、
- 菌が繁殖しやすくなる
- 木材が傷む
- 匂いがこもる
といった問題の原因になります。
特に薪サウナストーブの場合は、換気が不十分だと一酸化炭素中毒になる危険も出てきます。
家庭用サウナではサウナストーブの側に給気口を、その対面にある壁に排気口を開ける方法が一般的です。
以下は、弊社が製造しているサウナカーの給排気口になります。
参考:A 45 year engineer clears up electric sauna ventilation:45歳のエンジニアが電気サウナの換気装置を解明(SAUNATIMES)
ストーブ周りは不燃材が必要
薪ストーブの熱が木材に当たり続けると、「炭化」という現象が起きます。
炭化は木材が高温にさらされて黒く焦げてしまうことで、炭化が進むと火事になる可能性があるため、薪ストーブの周りには不燃材を使って保護したり、ストーブから十分な距離を取ったりすることが重要です。
ストーブに近い壁やベンチなどは不燃材でカバーすることで、木材が直接高温にさらされないように工夫することが必要になります。
傾斜した天井の場合、ストーブの設置位置に注意
自宅用サウナを設計する際に、天井を傾斜させるデザインを採用することがありますが、その場合ストーブの設置位置に注意が必要です。
天井の高い側にストーブを配置すると、ストーブから発生する蒸気が天井の三角形の部分に閉じ込められてしまい、蒸気による効果が半減してしまいます。
これを防ぐために、ストーブを天井の低い側に配置するか、天井を平らに設計しましょう。
この構造により、蒸気が効果的にサウナ室内を循環し、全身に均等に行き渡る理想的な環境が作れます。
参考:The sloped hot room ceiling Triangle Trap:傾斜した暑い部屋の天井の「三角形の罠」とは何か(SAUNATIMES)
薪ストーブの場合は煙突が必要
薪ストーブを使用する場合は煙が通る煙突も高温になり、煙突に触れている屋根部分の木材が炭化する恐れがあります。
煙突周りは、めがね石や二重煙突を使って耐熱加工する必要があります。
サウナ室に必要な照明については、リラックス空間を作るためのサウナ照明選びポイントの記事をご覧ください!
材料選定のポイント
続いてはサウナに使う木材、断熱材の選び方を詳しく解説します。
木材の選び方
サウナの木材選びは、耐久性や見た目だけでなく、高温・高湿度の環境に適応できるかどうかが重要です。
サウナに多く使われる木材には、レッドシダーやスプルースがあります。
日本ではヒノキも人気があり、その香りと抗菌性が特徴です。
木材の種類 | ヒノキ | レッドシダー(ネズコ) | スプルース(トウヒ) | ヘムロック(ツガ) | パイン(マツ) | スギ |
見た目 | ||||||
香り | ヒノキ特有の香り | マツに近い甘い香り | 清涼感のある香り | ほぼ無臭 | 森林浴のような木の香り | 甘く爽やかな香り |
耐久性 | 水や湿気に強い 長寿命 繊維が密集しており汚れにくい 抗菌作用がありカビの増殖を抑制 | 高い耐久性 変形しにくい 腐敗しにくい | 密度が高く丈夫 変形しにくい ややヤニが出やすい | 湿気に強い 耐久性が高い ヤニが出にくい | 熱伝導率低い 柔らかい 強度や耐久性が低い ヤニが出やすい | 柔らかく頑丈 傷つきやすい |
価格帯 | 高価 | やや高価 | やや高価 | 比較的安価 | 安価 | 安価 |
さらに、サーモウッド加工済みの木材もおすすめです。
サーモウッドは高温処理を施されており、耐久性と安定性が向上し、湿気にも強くなっています。
耐久性、耐湿性の高い木材を選ぶことで、長期間にわたり快適で安全にサウナを使用できます。
サーモウッドについてはサウナにはサーモウッド加工された木材がおすすめ!通常の木材との違いやメリットを解説で解説していますので、深く知りたい方は参考にしてください!
サウナ用木材の種類については、サウナに最適な木材の種類と選び方完全ガイドをご覧ください。
断熱材の選び方
サウナの断熱材選びでは、耐熱性、耐湿性、防火性、化学物質の放出が少ないこと、そして耐久性が重要です。
サウナ内は非常に高温で湿度も高いため、これらの条件を満たす断熱材を選ぶことが必須となります。
たとえば、グラスウールなどの断熱材は高温でも形状や性能が変わらず、湿気を吸収せず劣化しにくいものが多いです。
断熱材の効果は以下の特性に依存します。
- 厚みが厚いほど断熱効果が高い。
- 密度が高いほど断熱効果が高い。
- 熱伝導率が低いほど断熱効果が高い。
サウナで使われる 断熱材の種類 | 熱伝導率※ | 耐湿性 | 防火性 | 環境への配慮 | 価格の目安※ |
グラスウール(無機繊維系) | 0.038 | △ | ◎ | ○ | 2~3万円 |
ロックウール(無機繊維系) | 0.038 | △ | ◎ | ○ | 2~3万円 |
セルローズファイバー(木質繊維系) | 0.040 | △ | ◎ | ◎ | 9~12万円 |
フェノールフォーム(発泡プラスティック系) | 0.020 | ◎ | △ | △ | 7~8万円 |
※熱伝導率が低いほど断熱効果が高い。
※価格は、体積2.85m³の1-2人用サウナを作る際に必要になる断熱材の目安。
サウナに使われる断熱材の種類や選び方、販売店舗については、サウナに使える断熱材の種類!断熱材を入れるメリットや買える場所も紹介の記事で解説していますので参考にしてください。
屋外用サウナでは基礎工事が必要な場合も
屋外用サウナを設置する際には、安定した基礎を作ることが重要です。
サウナ設置場所に施される基礎工事には、おもに以下の3種類があります。
ベタ基礎
ベタ基礎は、サウナ全体の底面をコンクリートで覆う工法です。
床全面にコンクリートを流し込むため、サウナの重量を均等に分散させることができます。
土壌との接地面積が広いため、建物が沈下しにくく、安定性が高いのが特徴です。
ベタ基礎は地盤が柔らかく弱い土地や、地震が頻発する地域に適しています。
また、大型のサウナや重い構造のサウナもしっかりと支えます。
さらに、地面をコンクリートで覆うことで湿気やシロアリの被害からサウナを守ることができます。
布基礎
布基礎は、建物の外周に沿ってコンクリートを帯状に設置する工法です。
構造的に連続しているため、建物全体の荷重を効率よく支えることができます。
布基礎は地盤が安定している土地や、中規模から大型のサウナに適しています。
ベタ基礎ほど広範囲のコンクリートは必要ありませんが、次に紹介する束基礎よりも多くの点でサウナを支えるため、ある程度の重量にも対応可能です。
束基礎
束(つか)基礎は、サウナの四隅や主要な支点に柱状のコンクリートを設置する基礎工法です。
コンクリートの柱を地中に埋め込み、その上にサウナの構造を載せる形になります。
建物の荷重を点で支えるため、ベタ基礎・布基礎と比べて工事が簡単で費用も抑えられます。
束基礎は地盤が比較的固く均一な土地に適しており、軽量のサウナやあまり大きくないサウナの場合に向いています。
参考:クレバinfo
サウナ設計時の注意点
最後に、サウナ設計時にもっとも注意すべき点について解説します。
- 法律を遵守する
- サウナ設備設置基準を元に設計する
法律を遵守する
サウナ設置前に確認すべき法律は、以下の4つです。
どんな法律? | 管轄・確認先 | |
消防法・火災予防条例 | 避難経路の確保、消火設備 | 総務省消防局管轄の消防署 |
都市計画法 | 都市計画上サウナ開業可能な 土地かどうか | 国土交通省管轄の都市計画課 |
建築基準法 | 建物の安全性、 建物の利用用途変更の必要性 | 国土交通省管轄の建築主事 または指定確認検査機関 |
公衆浴場法 ※事業用サウナが対象。 | 更衣室や男湯・女湯の区分、 トイレ設置、衛生面、水の循環 | 厚生労働省管轄の保健所 |
サウナは設計段階からこれらの法的要件を考慮に入れることが重要です。
これらの法律を遵守し、安全で安心して利用できるサウナを設置しましょう。
サウナ設備設置基準を元に設計する
サウナを設置する際には、サウナ・スパ協会が提供している「サウナ設備設置基準」を基に設計することで安全で快適に使用できるサウナを作ることができます。
多くの消防署でもこの基準を参考にサウナ設置の可否を審査しており、各自治体の火災予防条例のサウナ設備に関する規定もその内容に準拠して定められているケースが多いです。
サウナ設備設置基準については【自宅でサウナ】家庭用サウナは賃貸でも置ける?確認しておくべき設置基準まとめでその内容をまとめていますので、参考にしてください。
まとめ
この記事では、自宅用サウナの設計・構造についての基本的な知識を網羅的に解説しました。
快適なサウナ体験を得るためには、法令遵守や安全基準の確認も欠かせません。
この記事を参考に、どんなサウナにするか、設計段階から楽しみながら進めていっていただければと思います!