脳波とデータで証明された“ととのう”状態|脳波研究から見えたリラックス効果
- 2025年6月12日

サウナに入ったあと、なぜか頭が冴えわたり、気持ちが前向きになる——そんな“ととのう”感覚を科学的に説明できる研究が登場しました。
本記事では、フィンランドの大規模研究を含む国際的な論文の内容をもとに、”ととのい”の状態についてデータとともに解説します。
目次
調査の概要
この論文は、「ととのう」状態における脳の変化を調べた実験研究です。
健康な成人20名を対象とした脳波測定と心理調査となります。
この研究では、サウナ・水風呂・休憩を3セット繰り返すという本格的なサウナ入浴を行い、脳波・反応時間・アンケートによって心身の変化を分析しました。AIによる脳状態の分類も実施しています。
項目 | 内容例 |
---|---|
タイトル | A study on neural changes induced by sauna bathing: Neural basis of the “totonou” state (サウナ入浴による神経変化に関する研究:「ととのう」状態の神経基盤) |
著者・研究機関 | Ming Changら(Shiba Palace Clinic) |
発表年 | 2023年 |
出典 | Neuroscience Letters |
論文リンク | https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10681252/ |
主な調査結果
\調査結果をまとめると…/
- サウナ後は、脳が「より効率的」に働く状態になる
- 脳波の「θ波」と「α波」が増加し、リラックスと集中の両立が見られた
- 注意力を示すP300は低下、感覚の鋭さを示すMMNは上昇
- 被験者の反応時間は短縮され、ストレス指標や心拍数も減少
- 「ととのう」と自己申告した人ほど、脳波にも特徴的な変化が見られた
脳波の変化:θ波・α波の増加
サウナ・水風呂・休憩の3セットを通じて、リラックス時に出る「θ波」と「α波」が段階的に増加。
これは、瞑想や集中状態に似た脳の活動を示しており、「ととのう」状態の脳内を客観的に裏付ける結果です。

サウナ→水風呂→休憩を繰り返すことで、θ波・α波が段階的に増加し、心身の深いリラックスや没入状態を示しています。一方、β波(緊張・覚醒)には変化が見られませんでした。
注意力と感覚処理の変化:MMN上昇、P300低下
聴覚タスク(音を使った課題)で測定したところ、注意を要するP300が減少し、無意識の音認識を示すMMNが上昇。
これは「頑張って集中している」状態ではなく、「自然に反応できる効率のよい脳」になっていることを意味します。

サウナ群では、反応前(pre)と比較して、注意を必要とするP300が低下し、無意識の感覚処理を示すMMNが上昇。
主観的なリラックス感:「ととのう」の再現
アンケートでは「浮いている感覚」「筋肉がゆるむ」「世界と一体になる感覚」など、深いリラックスを示す回答が多く見られました。
θ波と「ととのう実感」の間には強い相関も確認されました。
結論
この論文は、「ととのう」という体験が主観的な気持ちだけでなく、脳波や反応時間、心拍数などの客観データにも表れる状態であることを明らかにしました。
さらに、AIによる脳状態の分類では、「ととのっている脳」を88.34%の精度で識別可能であり、将来的にはサウナ外でも「ととのい」状態に導く応用が期待されます。
関連文献:
サウナ×冷水浴がストレスホルモンやテストステロンに与える影響|若年男性を対象とした研究
サウナが自律神経バランスを整える可能性|心拍の変化から見るサウナの効果を示した研究
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