運動後のサウナで暑さに強く!持久力も向上する“暑熱順化”の方法
- 2025年6月19日

「暑さに負けない体をつくりたい」
「持久力を高めたい」
そんな方にぴったりの習慣が、運動後のサウナ浴です。
今回紹介する研究では、週3回・3週間のサウナ浴を運動後に取り入れることで、暑熱耐性(体温・発汗)や持久力、さらには最大酸素摂取量(VO₂max)まで向上したという驚きの結果が報告されました。
本記事では、この研究の概要と主な成果をわかりやすく解説していきます。
目次
調査の概要
この論文は、運動後のサウナ浴が、暑さへの耐性や運動能力の指標に与える影響を調べた研究です。
トレーニング経験のある中距離ランナーを対象としたサウナ介入の効果を検証した結果です。
この研究では、運動直後に高温サウナ(101〜108℃)に3週間・週3回入るグループと、通常の持久系トレーニングだけを行うグループを比較し、心拍数、体温、運動能力(VO2max※や乳酸値)などが分析されました。
※VO2max:最大酸素摂取量(Maximum Oxygen Uptake)。1分間に体が取り込める酸素の最大量を示す指標で、通常は「ml/kg/min(ミリリットル/体重1kgあたり/1分間)」の単位で表される。これは、運動中に心肺機能と筋肉がどれだけ効率よく酸素を取り込んで利用できるかを示しており、主に持久力(スタミナ)の指標として使われる。
項目 | 内容例 |
---|---|
タイトル | Intermittent post-exercise sauna bathing improves markers of exercise capacity in hot and temperate conditions in trained middle-distance runners (運動後の断続的なサウナ入浴は、訓練を受けた中距離ランナーの高温および温帯条件下での運動能力の指標を改善する) |
著者・研究機関 | Nathalie V. Kirbyら(バーミンガム大学) |
発表年 | 2021年 |
出典 | European Journal of Applied Physiology |
論文リンク | https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7862510/ |
主な調査結果
\調査結果をまとめると…/
- 運動後のサウナ浴を3週間行うことで、暑熱耐性(体温・心拍数・発汗)に改善が見られた
- *最大酸素摂取量(VO2max)や運動持久力、乳酸閾値などパフォーマンス指標も向上した
- 7週間の継続では追加の効果はわずかだった
暑熱耐性の改善
3週間のサウナ介入で、サウナ群は以下のような変化を示しました。
- 直腸温度が0.2℃低下(p = 0.04)
- 皮膚温度が0.8℃低下(p = 0.03)
- 心拍数が11bpm低下(p < 0.05)
- 前腕の汗腺活動が54%増加(p < 0.01)
これらは、体が暑さに適応し始めている証拠であり、より快適に高温環境で運動できるようになったことを示しています。
パフォーマンスの向上
サウナ介入を行ったグループでは、以下のような運動能力の向上が確認されました。
- VO2maxが0.27L/min向上(+8%)(p = 0.02)
- 時間当たりの最大運動持続時間が12%向上(p < 0.01)
- 乳酸値4mmol/L時のスピードが0.6km/h上昇(p = 0.01)
つまり、暑熱環境だけでなく、通常の気温下でも運動能力が向上する可能性があるということです。

VO₂max(A)、走行スピード(B)、運動持続時間(C)のいずれも、サウナを取り入れたグループで大きく向上。通常トレーニングだけのグループでは変化がなかった。
7週間続けた場合の効果
3週間以降も継続した参加者においては、直腸温度がさらに0.1℃低下した以外、大きな変化は見られませんでした。
したがって、3週間程度のサウナ浴でも十分な順化が可能と考えられます。
結論
この論文は、運動後のサウナ浴が暑さに対する身体の適応(暑熱順化)を促し、運動パフォーマンス向上にも効果的であることを示しました。
とくに、3週間の介入でも十分な効果が得られ、7週間続けても追加効果はわずかであるため、アスリートにとって実用性の高い方法といえます。
暑さに備えたい競技者や、トレーニング効率を上げたい方におすすめの習慣です。
※本ページの内容はページ内にあるソースの学術文献等を、一部翻訳機能等を活用して弊社にて独自に翻訳・要約したものです。詳細は参照元の文献をご参照ください。