ドライサウナとスチームサウナ、体への負担が大きいのはどっち?|ポーランドの研究をもとに解説
- 2025年6月12日

サウナといえばその代表的な種類として「ドライサウナ」と「スチームサウナ」がありますが、それぞれ身体への負担はどれくらい違うのでしょうか?
この記事では、ポーランドの研究機関による実験データをもとに、2種類のサウナが身体に及ぼす影響を比較。
特に「熱ストレス」「心拍数や体温の変化」「主観的な熱さの感じ方」などに注目し、科学的に解説します。
目次
調査の概要
この研究は、10名の健康な若年男性(25〜28歳)を対象に行われました。
被験者は1か月の間隔をあけて、それぞれドライサウナとスチームサウナに入浴。
各セッションは15分×3セットで構成され、間に5分間の冷水シャワー+休憩を挟みました。
ドライサウナは約91℃・湿度5〜18%、スチームサウナは約59℃・湿度60%。
それぞれのサウナ前後で体重・血圧・心拍数・直腸温度を測定し、熱ストレスの指標(PSI/CHSI)や熱さの感じ方(ベッドフォード尺度)も評価されました。
項目 | 内容例 |
---|---|
タイトル | Comparison of physiological reactions and physiological strain in healthy men under heat stress in dry and steam heat saunas (乾式サウナと蒸気サウナにおける熱ストレス下の健康な男性の生理反応と生理的負担の比較) |
著者・研究機関 | W. Pilch, Z. Szygula, T. Palka, P. Pilch, T. Cison, S. Wiecha, Ł. Tota (Academy of Physical Education, Cracow) |
発表年 | 2014年 |
出典 | Biology of Sport |
論文リンク | https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4042662/ |
主な調査結果
\調査結果をまとめると…/
- ドライサウナの方が発汗量が多く、脱水しやすい
- スチームサウナの方が体温・心拍数の上昇が大きく、負荷が強い
- 血圧は両方とも上昇、ドライサウナの方がわずかに大きい
- 主観的な熱さは、スチームサウナの方が「熱い」と感じる評価が高かった
- 熱ストレスの指標は、スチームサウナの方が高い
発汗量(体重変化)
ドライサウナでは、平均して0.72kgの体重が減少し、スチームサウナでは0.36kgの減少にとどまりました。
これは、湿度が低いドライサウナの方が汗の蒸発が促進され、より脱水が進みやすいことを示しています。
体温・心拍数の変化

ドライサウナでは直腸温度が1.16℃、スチームサウナでは1.61℃上昇しました。
心拍数もドライで+59.4bpm、スチームで+72.0bpmと、いずれもスチームの方が上昇幅が大きく、身体にかかる熱負荷の強さが見て取れます。
血圧の変化
収縮期血圧(上の血圧)はどちらも上昇し、ドライで+20mmHg、スチームで+17.7mmHg。
拡張期血圧(下の血圧)はむしろ低下し、とくにスチームサウナでは-20mmHgと大きな変化が見られました。
熱さの感じ方と熱ストレス指標

ベッドフォード尺度による主観的評価では、スチームサウナの方がより強い熱さを感じたとされています。

また、熱ストレスの客観指標であるPSIとCHSIも、ドライよりスチームの方が高く、身体への負荷が大きかったことが明らかになりました。
結論
サウナといえば「ドライサウナ=高温で刺激が強い」と思われがちですが、この研究ではスチームサウナの方が身体にかかる熱ストレスが高いことが示されました。
その理由は「湿度」にあります。スチームサウナは空気中の水分量が多いため、汗をかいても蒸発しづらく、体の熱が外に逃げにくいのです。
その結果、体温や心拍数がより上昇しやすく、負担が大きくなる傾向があります。
一方で、ドライサウナは高温ではあるものの、湿度が低く汗が蒸発しやすいため、体の熱が逃げやすく、実は負荷が調整しやすいという一面もあります。
そのため、サウナ初心者は、ドライサウナから始める方が無理なく楽しめるかもしれません。
逆に、しっかりと汗をかきたい方にはスチームサウナが合っている可能性もあります。
「温度」だけでなく「湿度」も意識しながら、自分の体調や目的にあったサウナを選ぶことが大切です。
関連文献:
赤外線・対流式サウナが眼球に与える熱的影響を数値解析した研究を解説
サウナと健康寿命|心疾患・認知症・免疫への効果を示したフィンランドの研究
※本ページの内容はページ内にあるソースの学術文献等を、一部翻訳機能等を活用して弊社にて独自に翻訳・要約したものです。詳細は参照元の文献をご参照ください。