赤外線・対流式サウナが眼球に与える熱的影響を数値解析した研究を解説
- 2025年6月12日

サウナの体への影響には、注意が必要な側面もあります。
特にデリケートな器官である「目」に対して、サウナの高温がどのような影響を及ぼすのでしょうか?
本記事では、タイの大学研究者による論文「Heat Transfer Analysis of the Human Eye During Exposure to Sauna Therapy(サウナ浴中の眼球における熱伝達解析)」の内容をもとに、サウナが目に与える熱的影響について、科学的に解説します。
目次
調査の概要
この論文は、サウナ浴が人間の眼球に与える温度上昇の影響を、独自の数値シミュレーションモデルを用いて検証したオリジナル研究です。
成人の眼球構造を模した数値モデルに対して、サウナ室内の温度や赤外線ヒーターの条件を設定し、それぞれの環境下で眼球の内部温度がどのように変化するかを詳細にシミュレーションしました。

特に、赤外線サウナと従来型サウナ(対流式)での違いに着目し、角膜や前房、硝子体などの部位ごとの温度分布を可視化しています。
項目 | 内容例 |
---|---|
タイトル | Heat Transfer Analysis of the Human Eye During Exposure to Sauna Therapy (サウナ浴中の眼球における熱伝達解析) |
著者・研究機関 | Teerapot Wessapan、Phadungsak Rattanadecho (Rajamangala University of Technology) |
発表年 | 2015年 |
出典 | Numerical Heat Transfer – Applications, Vol.68(5) |
論文リンク | https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/10407782.2014.986393 |
主な調査結果
\調査結果をまとめると…/
- 赤外線サウナでは眼球表面の温度が最大52.9℃まで上昇し、通常サウナ(48.25℃)よりも高温になる。
- 赤外線サウナの方が、目の内部での熱の移動(熱循環)が活発である。
- 角膜や前房などの組織における熱負荷が、使用するサウナの種類によって異なる。
赤外線サウナは従来型よりも目に強い熱影響を与える
同じ室温(80℃)条件でも赤外線サウナでは放射加熱が中心のため、眼球の内部温度は通常サウナより約4℃高くなりました。
さらに、前房(角膜と水晶体の間)での熱流動は、赤外線サウナではより高速に循環しており、目の内部環境がより大きな温度変化に晒されることが示されました。
結論
この論文は、「サウナが目に及ぼす熱的影響」という、これまで注目されにくかったテーマに対し、独自の眼球モデルを使った数値解析によって可視化し、赤外線サウナの影響がより強いことを明らかにしたものです。
結論として、対流型サウナよりも、赤外線を多く含む環境の方が眼球温度の上昇が顕著であり、目の乾燥や損傷につながる可能性があります。
また、安全なサウナ習慣のためには、サウナの種類や温度だけでなく、「目を守る意識」も重要であることが、この研究から見えてきます。
関連文献:
ドライサウナとスチームサウナ、体への負担が大きいのはどっち?|ポーランドの研究をもとに解説
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