サウナで痩せる?研究データで見る消費カロリーと減量効果の真実
- 2025年10月2日

サウナ後に体重が減るのは事実ですが、その多くは汗による水分です。
一方で研究では、サウナによってカロリーが消費され、代謝を助ける効果があることも分かっています。
本記事では、研究データと実際の体験談をもとに、サウナをダイエットや減量に活かす方法を解説します。
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目次
【結論】サウナで痩せる?減量は可能か

サウナに入った直後、体重がストンと落ちることがあります。
でもその正体はほとんどが「汗=水分」。脂肪が燃えて減ったわけではありません。
汗をかいた=痩せたというのは大きな誤解で、体重の数字は一時的に減っても、脂肪はそのまま残っています。
とはいえ、サウナを習慣化することで代謝が活発になり、痩せやすい体づくりにつながる可能性はあります。
さらに、サウナ中は心拍数やエネルギー消費も増えているため「軽い運動をしているような状態」に近いのです。
アメリカのサウナ専門メディア「SaunaTimes」でも、サウナは直接的に脂肪を落とす手段ではないと強調されています。
その代わりに、健康的な食事や運動と組み合わせることで、持続的な「健康ループ」を作るサポート役になるとされています。
サウナは“痩せるための近道”ではなく、“痩せ続けるための習慣作り”のパートナー。
関連記事:サウナと岩盤浴はどっちが痩せる?ダイエットに適するのは?効果の違いや目的も解説
サウナの痩せる効果はある?研究や理論から見る効果
「では、サウナに痩せ効果は本当にないの?」と気になりますよね。ここで役立つのが研究データです。
発汗による一時的な減量と消費エネルギー量
2019年にポーランドで行われた研究では、10分×4回のサウナ利用で平均0.65kgの体重減少が見られました。その多くは汗による水分の損失です。
ただし心拍数は最大144bpmまで上がり、血圧も上昇。
つまり体にはしっかり負荷がかかっていて、エネルギーも消費されていました。
実際に1回目は約73kcal、4回目には131kcalと、回を重ねるごとに消費量が増加する傾向が確認されています。
参考研究:「サウナで体重減」は危険な勘違い?若年男性45人の研究でわかった実態
BMIによる違い
2015年の研究では、サウナによる体重減少は「BMIが高い人ほど多い」ことが分かりました。
- 女性:平均370gの減少(肥満傾向では700g超)
- 男性:平均500gの減少(肥満傾向では820g近く)
特にBMIが高い人は痩せ型の人の約2倍以上の汗をかき、脱水リスクも上がります。
つまり「太っている人ほどサウナで汗をかいて体重が落ちやすい」ものの、それは脂肪ではなく水分。無理に減量効果を狙うと、逆に体調を崩す危険があるのです。
参考研究:痩せ型と太り気味、サウナでの発汗量はどう違うのか?体格別・発汗量の実験結果
サウナで期待できる体への変化

サウナは「汗をかくだけ」ではなく、体の中でいくつもの変化を引き起こします。
その効果を研究データとあわせて一つずつ見ていきましょう。
- 基礎代謝の向上
- 血流・リンパの促進によるデトックス効果
- 自律神経の安定
- ストレスの緩和
基礎代謝の向上
サウナ中の体は、じっと座っていても「運動している状態」に近づきます。
2019年にドイツで行われた研究では、サウナ入浴中の血圧と心拍数が軽い有酸素運動と同じレベルに上がることが確認されました。
エアロバイクで60〜100W程度をこいでいるのとほぼ同じ負荷が心臓にかかっていたのです。
つまりサウナは、静かに座りながらも軽い運動と同じように代謝を刺激します。
入浴後には血圧がストンと下がるリラックス効果もあり、運動と休息の両方を一度に体験できるのが魅力です。
参考研究:サウナ中は軽い運動と同じ心臓負荷|血圧・心拍数の変化を実測したドイツの研究
血流・リンパの促進によるデトックス効果
サウナに入ると血管がぐっと広がり、流れがスムーズになります。
2018年にフィンランドで行われた研究では、サウナ浴前後で動脈の硬さを示す数値(PWV)が9.8→8.6m/sに低下し、血管の柔軟性が向上することが示されました。
さらに血圧も下がり、30分後も安定を保っていたのです。
この効果は、むくみ解消や老廃物の排出を後押しし、「見た目のすっきり」につながります。
血液やリンパの流れを整えることは、健康だけでなく美容にもプラスに働くのです。
参考研究:サウナで血管の柔軟性が向上|フィンランド研究でわかった血圧・心臓への効果
自律神経の安定
サウナは「交感神経(興奮)と副交感神経(リラックス)の切り替えスイッチ」として働きます。
2019年の国際研究では、サウナ中は交感神経が優位になり、心拍数が上昇。
しかし終了後の回復期には副交感神経が働き出し、リラックスモードへと移行することが確認されました。
さらに2023年の日本の研究では、サウナ後に脳波の「α波」「θ波」が増え、リラックスと集中が同時に高まる“ととのい状態”が科学的に裏づけられています。
脳の働きが効率的になり、ストレスが減り、感覚は研ぎ澄まされる。
そんな体験が数値でも証明されているのです。
参考研究:
サウナが自律神経バランスを整える可能性|心拍の変化から見るサウナの効果
脳波とデータで証明されたととのう状態|脳波研究から見えたリラックス効果
ストレスの緩和
「サウナに入ると心が軽くなる」「ストレスを忘れられる」と感じたことはありませんか?
2018年にフィンランドで25年間にわたり行われた追跡研究では、週4回以上サウナを利用する人は、精神疾患リスクが77〜79%も低下していました。
年齢や生活習慣の違いを調整しても結果は一貫しており、サウナが心の健康に強く寄与することが分かります。
これはサウナが脳内のセロトニン分泌を促し、心を安定させるから。
ストレスによる過食や不眠を防ぐ効果も期待され、ダイエットや日常生活の質の向上にもつながるかもしれません。
参考研究:週4回以上のサウナで精神疾患リスクが77%低下|フィンランドの25年追跡研究
サウナでの消費カロリーはどのくらい?10分あたりの目安も

「サウナでどれくらいカロリーを消費できるの?」という疑問に答える研究結果があります。
2019年にポーランドで行われた研究では、90℃のドライサウナに10分×4回入浴したところ、消費カロリーは以下のように増加しました。
- サウナ1回目:73kcal
- サウナ4回目:131kcal
つまり、サウナは「座っているだけ」でもエネルギー消費がどんどん積み重なるということ。
運動と同じく、負荷が増すごとに消費量もアップしていきます。
以下に、10分あたりのカロリー消費量をわかりやすく表にまとめました。
活動内容 | 10分の消費カロリー目安 |
サウナ(90℃前後) | 約70〜130kcal |
水風呂(20℃前後) | 約50kcal |
足踏み | 約25kcal |
ジョギング | 約70kcal |
水泳 | 約60kcal |
温かい湯船での入浴 | 約15kcal |
サウナは「軽いジョギング」や「水泳」と同じくらいの消費量。
しかも座っているだけで得られる点が大きな特徴です。
関連記事:水風呂はダイエットに効果あり!温冷交互浴で代謝アップするための水風呂の利用方法
実際に痩せた人の声や口コミは?体験談をチェック
研究データも気になるけれど、「リアルな声」も参考にしたいですよね。
SNSには、サウナで痩せたという口コミが数多く投稿されています。
仕事、ジム、サウナ…
何が良かったのかわからないけど、4月からの2ヶ月ちょっとで6.5kg痩せた
X
サウナで1キロ痩せた。
ロウリュウとかいうやつヤバいね。地獄やん
X
ホテルから10キロラン🏃
後のサウナ行ったら、昨日の夜から2キロ痩せた😂
X
かつて毎日朝晩2時間ずつ走って(自宅のランニングマシーンでライブBD見ながら走る)、筋トレ🏋️サウナ週3して、食事制限して月3kg半年で20kg痩せたよ。
X
ただし、共通しているのは「サウナだけで痩せたわけではない」という点。
食事管理や運動と組み合わせることで、より大きな成果につながっています。
つまり、サウナは正しい生活習慣を支えるパートナーとして活用するのが効果的なのです。
サウナだけで痩せるのは難しい?効果を高める3つのコツ

ここでは、サウナの減量効果を高めるための3つのコツを紹介します。
- 入浴後の水分補給
- 入浴前後の食事管理
- 軽い運動との組み合わせ
入浴後の水分補給
サウナで大量の汗をかいた後は、水分補給が必須です。
上述した2019年のポーランドの研究では、90℃のドライサウナに10分×4回入浴すると、平均650mlの水分が失われることが分かっています。
そのため、目安としてはサウナ前後に300〜500ml、外気浴の合間にもこまめに飲むのが理想です。
おすすめは経口補水液(OS-1など)やミネラルウォーター。
ポカリスエットなど糖質の多い飲料は、特にダイエット中は飲みすぎ注意しましょう。
また、お茶やコーヒー、アルコールは利尿作用で逆効果になるので避けましょう。
水分をしっかり補うことで脱水を防ぎ、血流や代謝の向上をより得やすくなります。
参考研究:サウナ後の水分補給は「経口補水液」が効果的!ミネラルウォーターとの比較研究で明らかに
入浴前後の食事管理
サウナ後はカロリーを消費しているため、つい「ガッツリ食べたい!」という欲求が高まります。
しかもサウナ飯と呼ばれるように、サウナ後は味覚が研ぎ澄まされていて何を食べても美味しく感じやすい状態。
ただしここで油断は禁物です。
サウナ後は栄養の吸収率が高まっているため、油分や糖質の多い食事をとると一気に脂肪として蓄えられてしまいます。
逆に味覚が敏感になっているため、実は薄味の料理でも十分満足できるのがサウナ後のメリットです。
書籍『医者が教えるサウナの教科書』では、健康効果を重視するなら地中海料理がおすすめと紹介されています。
オリーブオイル・ナッツ・魚・野菜・果物を中心にした食事は、サウナ後の身体にもやさしく、さらに脳卒中・心疾患・糖尿病リスクを下げることが医学的に明らかになっています。
軽い運動との組み合わせ
サウナは運動と組み合わせることで、相乗効果を発揮します。
2020年にイギリスで行われた研究では、中距離ランナーを対象に「運動後にサウナを取り入れたグループ」と「通常のトレーニングのみのグループ」を比較。
その結果、サウナを習慣化したグループは持久力の向上や体温調整能力の改善がより大きく見られました。
つまり、軽い運動+サウナで「痩せやすい体質」と「疲れにくい体」を一緒に作れるのです。
特に夏場に強くなる「暑熱順化」にも役立つことが証明されています。
参考研究:
運動後のサウナ習慣で持久力アップ、3週間で疲れにくい体に!中距離ランナーを対象とした実証研究
運動後のサウナで暑さに強く!持久力も向上する“暑熱順化”の方法
継続のコツ
効果を高める最大の秘訣は「習慣化」。
無理のない範囲で心地よく続けることが、体質改善や長期的な減量につながります。
さらにサウナには減量だけでなく、ストレス軽減・免疫力アップ・自律神経の安定といった幅広い効果があります。
ダイエットのためだけでなく「健康全般を底上げする習慣」として取り入れることで、モチベーションも高まります。
サウナの幅広い効果については、以下のページで国内外の研究論文をもとに詳しくまとめています。ぜひ参考にしてください。→サウナ参考文献一覧
サウナダイエットの注意点

サウナは健康にもダイエットにもプラスになる一方、使い方を誤ると危険を伴います。
ここでは特に注意したいポイントを整理しました。
長時間や過度なサイクルは危険
「もっとカロリーを消費したい!」と欲張って長時間入るのはNG。
発汗量が増えすぎ、脱水や心臓への負担につながります。
無理にサウナ時間を延ばすのではなく、適度な時間で休憩を挟むことが大切です。
サウナを避けるべき人・タイミング
以下の方や状況ではサウナ利用を控えましょう。
- 心疾患など持病を持つ方
- 高齢者・子ども・妊婦
- 体調が優れないとき
- 飲酒後、空腹時・満腹時、寝不足、極度の疲労時
研究でも、アルコール摂取後のサウナは死亡リスクを高めることや、妊娠中・小児・高齢者は体温調整機能が十分でないためリスクが大きいことが報告されています。
また、熱中症や血糖コントロールへの影響も指摘されており、持病のある方は特に注意が必要です。
サウナは「安全に楽しんでこそ健康効果が得られる」もの。
無理をせず、自分の体調や状況に合わせて取り入れることが、サウナダイエット成功の大前提です。
サウナ利用について迷ったら、医師に相談を!
まとめ|サウナは「痩せる習慣」の補助アイテムとして活用を

サウナは一時的に体重を減らし、カロリーも消費しますが、脂肪を直接燃やすわけではありません。
大切なのは運動や食事と組み合わせ、健康習慣の一部として取り入れることです。
研究でも、サウナは代謝や持久力の向上を助け、ストレスや血流改善など多くの効果が確認されています。
サウナは「痩せる魔法」ではなく「痩せやすい生活を支えるブースター」。
無理なく習慣化することが、ダイエット成功のカギです。
参考文献
水風呂・チラードットコム「水風呂ダイエットで本当に痩せる?効果・やり方・注意点を徹底解説!」
バスクリン「ダイエットをしたい時の入浴法」
Robert Podstawski ら(ポーランド・ウォルミア・マズールィ大学)(2019年)「若年の運動習慣のない過体重男性における、10分×4回のドライサウナ繰り返し使用と生理的指標・体格・体組成の関連性:健康への示唆」
Bartłomiej P. Gmiat ら(ポーランド・Gorzów Wielkopolski 大学)(2015年)「若年の運動習慣のない男女におけるサウナによる体重減少の影響」
S. Ketelhut, R.G. Ketelhut(ベルリン医療センターなど)(2019年)「サウナ入浴中の血圧と心拍数は準最大動的運動時の心臓反応に一致する」
Earric Lee 他(中部フィンランド病院 ほか)(2018年)「サウナ入浴は動脈の柔軟性を改善する:非ランダム化実験研究の結果」
Tanjaniina Laukkanen ら(フィンランドほか国際共同研究)(2019年)「サウナ入浴後の回復が心臓の自律神経系に好影響を与える」
Ming Chang ら(Shiba Palace Clinic)(2023年)「サウナ入浴による神経変化に関する研究:『ととのう』状態の神経基盤」
Tanjaniina Laukkanen, Jari A. Laukkanen, Setor K. Kunutsor(University of Eastern Finland ほか)(2018年)「サウナ入浴と精神疾患リスク:前向きコホート研究」
今西隆浩 ほか(2024年)「サウナ浴による健常成人熱中症・脱水状態モデルにおける『スムーズイオン 経口補水液』の水・電解質補給効果」
Nathalie V. Kirby ほか(バーミンガム大学)(2020年)「運動後の断続的なサウナ入浴は、訓練を受けた中距離ランナーの高温および温帯条件下での運動能力の指標を改善する」
Kyung-Moo Yang ら(韓国国立科学捜査研究所)(2018年)「韓国におけるサウナでの死亡の特徴と血中アルコール濃度の関係」
Mary Ann Sedgwick Harvey, Marcella McRorie, David W. Smith(ワシントン大学)(1981年)「妊婦による温水浴槽とサウナの利用に関する推奨制限」
E. Jokinen ほか(フィンランド)(1990年)「サウナでの子供たち:心血管系の調整」
井奈波 良一(岐阜大学 医学部 総合病態・予防医学講座)(2011年)「入浴と熱中症」
Laura Schenaarts ほか(Maastricht University・オランダ)(2024年)「2型糖尿病患者における1回のサウナセッションは食後血糖コントロールを改善しない」