サウナ習慣で精子の質が一時的に低下?|遺伝子レベルでの影響を示した研究を解説
- 2025年6月12日

「サウナに通うと妊娠しにくくなる」といった話を耳にしたことはありませんか?
リラックスや健康目的で利用されるサウナですが、精子への影響はどうなのでしょうか。
本記事では、イタリアの研究者が発表した論文をもとに、サウナが精子に与える影響を科学的データとともに解説します。
目次
調査の概要
この論文は、サウナによる高温曝露がヒトの精子形成(精子数・運動性・DNA構造など)に与える影響を評価した縦断的研究です。
10名の健康な成人男性を対象とした、3か月にわたるフィンランド式サウナの継続的利用に関する観察結果です。
この研究では、週2回・各15分のサウナ(80〜90℃)を3か月間行い、精液・ホルモン・DNA構造・ミトコンドリア機能などを時系列で分析しました。
項目 | 内容例 |
---|---|
タイトル | Seminal and molecular evidence that sauna exposure affects human spermatogenesis (サウナへの曝露がヒトの精子形成に影響を与えるという画期的かつ分子的な証拠) |
著者・研究機関 | Andrea Garolla ほか(イタリア・パドヴァ大学) |
発表年 | 2013年 |
出典 | Human Reproduction |
論文リンク | https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23411620/ |
主な調査結果
\調査結果をまとめると…/
- サウナ利用後に精子数と運動性が大きく低下
- 精子のDNA構造やミトコンドリア機能も低下
- すべての悪影響はサウナを中止後、6か月で回復
精子数と運動性が低下
3か月間のサウナ利用後、精子数と運動性に有意な低下が見られました(P < 0.001)。
ただし、性ホルモン(テストステロンなど)のレベルには影響がありませんでした。
DNA構造とミトコンドリア機能にも影響
精子のDNAが正常に凝縮されている割合や、ミトコンドリアの機能も大きく低下。
これは受精能力や胚の発育にも関係する重要な要素です。
悪影響は可逆的だった
サウナ利用をやめてから6か月後には、すべての指標が元の状態に戻りました。
つまり、サウナによる影響は一時的であることが示されました。
結論
この論文は、健康な男性が定期的に高温サウナを利用すると、精子の数や運動性、DNAの状態などに一時的な悪影響が出ることを示しました。
しかし、サウナの利用を中止すれば、数か月以内に自然に回復することも確認されています。
妊娠を望むカップルにとっては、「一時的な控え」も選択肢の一つになるかもしれません。
関連文献:
サウナ×冷水浴がストレスホルモンやテストステロンに与える影響|若年男性を対象とした研究
妊娠初期の体温上昇は胎児に悪影響の可能性|温浴・サウナ利用に関する1981年の論文
※本ページの内容はページ内にあるソースの学術文献等を、一部翻訳機能等を活用して弊社にて独自に翻訳・要約したものです。
※本ページは論文の要旨(Abstract)のみをもとにまとめたものです。詳細は参照元の文献をご参照ください。