公衆浴場法の基礎知識とサウナ開業のポイント|規制緩和でいまが出店のチャンス!
- 2024年10月28日
サウナ開業を検討されている方へ、いまが絶好のチャンスかもしれません!
これまでは事業用サウナの出店には「公衆浴場法」という法律の壁が立ちはだかっていましたが、近年その規制が緩和されつつあります。
この規制緩和により、多くのサウナ事業者がよりスムーズにサウナを開業できるようになってきているのです。
この記事では、サウナ設備と公衆浴場法の関係、そして規制緩和の具体的な内容を分かりやすく解説します。
サウナビジネスに一歩踏み出そうと考えているあなたにとって、今知っておくべき重要なポイントをお届けしますので、ぜひ最後まで参考にしてください!
自治体・保健所により詳細は異なります。
法律の規制緩和が順次進められている自治体もありますので、最新情報は管轄の保健所までお問い合わせください。
目次
そもそも公衆浴場法とは?
公衆浴場法は、公衆浴場や特殊公衆浴場を開業する際に経営者が守るべき規定を定めた法律です。
公衆浴場法は、公衆浴場の衛生管理と安全性を確保し公衆の健康を守るために、昭和23年に作られました。
この法律に基づき、銭湯やサウナなどを開業するには都道府県知事の許可が必要になります。
設置場所や構造設備が基準を満たしていないと判断された場合、開業は認められません。
公衆浴場法では公衆浴場を「公衆浴場」と「特殊公衆浴場」の2種類に分類しています。
分類 | 詳細 |
公衆浴場 (普通公衆浴場) | 銭湯 |
特殊公衆浴場 (その他の公衆浴場) | 個室公衆浴場 日帰り入浴施設 サウナヘルスセンター スポーツ施設の付帯浴場 酵素風呂 エステ 岩盤浴 高齢者福祉センターの浴場 など |
一般公衆浴場は、いわゆる「銭湯」のことを指しており、入浴料金については物価統制令が適用されます。
また、サウナイベントも公衆浴場法の対象となりますので、一日だけのイベントであっても保健所に相談することが推奨されます。
以下では、公衆浴場法で定められている公衆浴場の「構造設備基準」や「適正配置基準」について詳しく紹介します。
構造設備基準
公衆浴場法における構造設備基準とは、公衆浴場の安全性や衛生管理を確保するために設けられた基準で、「公衆浴場を営業するにあたって必要な設備」が定められています。
以下は、東京都多摩立川保健所による「公衆浴場のてびき」の具体的な基準例です。
■ろ過器・集毛器の基準
ろ過器の能力と設置
・ろ過器は浴槽の容量を1時間でろ過できる能力が求められる。
・ろ過器の上流には、毎日清掃が容易な集毛器を設置する必要がある。
ろ過器のろ材
・ろ材は逆洗浄が容易にできるものが望ましい。
・逆洗浄が難しい場合は、簡単に交換できる構造でなければならない。
■薬剤注入装置
・塩素などの薬剤は、ろ過器の前に投入するのが望ましい。
■再利用の禁止
循環水の再利用禁止
・循環した浴槽水を打たせ湯やシャワーに再利用することは禁止されている。
・浴槽からあふれた湯水も再利用してはならない。
■入浴者の保護
入浴者の安全確保
・浴槽水の誤飲や飛まつ吸引を防ぐための措置を講じる。
・気泡発生装置の空気取入口は土ぼこりが混入しないよう屋内に設置し、必要に応じてフィルターを使用する。
・循環水の取入口には、入浴者の吸込事故を防ぐための措置(例:目皿の設置)を講じる。
参考:公衆浴場(その他2号) のてびき 東京都多摩立川保健所
適正配置基準
適正配置基準は公衆浴場の密集を避けるために設けられたもので、既存の公衆浴場から一定の距離を保って新たな公衆浴場を設置するための規則です。
適正配置基準は公衆浴場が密集することを避け、過度な競争を防ぐ目的があります。
たとえば、東京都多摩立川保健所の「公衆浴場(その他2号) のてびき」では、
配置基準:普通公衆浴場は既存の同種施設から最低300メートル以上離れた場所に設置する必要があるが、特定条件下ではこの距離制限が緩和される場合がある。
引用元:公衆浴場(その他2号) のてびき 東京都多摩立川保健所
としています。
このように適正配置基準では、既存の公衆浴場から何m離れた位置でないと公衆浴場を経営できないといった条例が定められています。
この距離については各都道府県や地域によって様々なため、出店候補地の付近に公衆浴場がある場合には事前に相談しておくとよいでしょう。
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公衆浴場法が適用外となるケース
公衆浴場法は公衆衛生を保つための規制を設けていますが、他の法律により同様の公衆衛生基準が満たされている場合、適用外となることがあります。
たとえば、ホテルや旅館が新たにサウナを導入する場合、旅館業法の許可を受けていれば公衆浴場法は適用されません。
これは、旅館業法にも公衆衛生に関する規制が含まれているためです。
ただし、適用外となるかどうかの最終判断は管轄の保健所が行いますので、事前に保健所へ相談することが重要です。
公衆浴場法における営業許可取得までの流れ
- 事前相談
- 他法令に関する事前相談
- 営業許可申請・施設検査
- 許可
①事前相談
公衆浴場を開業するには、保健所長や都道府県知事の許可が必要です。
この許可は、公衆のために公衆浴場として運営し続ける施設が対象となり、利用者の人数や料金の有無は関係ありません。
ただし、旅館や老人ホームなど特定の施設内の浴場は対象外です。
立地や設備、衛生管理、風紀に関する基準を満たす必要があるため、計画段階で施設の平面図を持参し、保健所に相談しましょう。
②他法令に関する事前相談
公衆浴場法だけでなく、消防法や建築基準法など他の関連法令についても事前に確認が必要です。
以下の相談先を参考にしてください。
法律 | 相談先 |
消防法・火災予防条例 | 管轄の消防署 |
建築基準法 | 管轄の建築主事または指定確認検査機関、建築指導課 |
都市計画法 | 各市区町村の都市計画担当 |
食事提供 | 所管する保健所の食品衛生担当 |
③営業許可申請・施設検査
施設が完成した後、その構造設備が基準に適合しているか検査を受ける必要があります。
営業開始予定日の前に余裕を持って申請しましょう。
具体的な手続きについては、各自治体の保健所が公開している「公衆浴場(その他2号)のてびき」を参照してください。
④営業許可の取得
提出した書類と施設の検査により基準に適合していると判断されれば、晴れて営業許可を取得となり、営業を開始できます!
公衆浴場の営業許可申請に必要な書類
公衆浴場営業の許可を取得するには、以下の書類を管轄の保健所に提出する必要があります。
- 公衆浴場営業許可申請書
- 施設および構造設備の概要書
- 建物配置図、平面図、正面図、側面図、断面図
- 付近見取図(指定範囲の住宅、道路、公衆浴場等が記載されたもの)
- 給排水設備の配置図、系統図
- 登記事項証明書(法人の場合)※指定期間以内に発行されたもの(原本確認)
- 定款又は寄附行為の写し(法人の場合)
- 申請手数料
上記に加えて、施設完成後の検査時に建築基準法に基づく検査済証の写しを提出する必要があります。
※必要書類の種類や詳細は、自治体により異なる場合があります。
旅館業を営んでいる場合の公衆浴場法の取得
旅館業の場合で宿泊者のみがサウナを利用する場合は、公衆浴場法の適用はありません。
ただし、宿泊者以外にサウナを時間貸しする場合は、保健所に相談することをお勧めします。
一部の地域では時間貸しの利用者数が宿泊者より少なければ、公衆浴場法の許可が不要な場合もあります。
ただし、消防署では時間貸しのサウナも公衆浴場として扱われることがあり、その場合は消防法に基づいて消火設備の設置が義務付けられる可能性があるため、消防署にも相談が必要です。
サウナにかかる営業許可は緩和の傾向!
昭和23年につくられた公衆浴場法は、もともと一般的な銭湯などの公衆浴場を想定して定められた法律であるため、サウナに対して適用したときに規制が厳しすぎるなど多くの問題が出てきています。
特に近年トレンドとなっているテントサウナ等を用いた「アウトドアサウナ」においては、公衆浴場法がその運用を難しくしていました。
また、サウナ設備の規制が自治体ごとに異なるため、開業許可の取得が地域によって難易度が違うというのも問題です。
これらの課題を受けて発足された2024年3月の厚生労働省による「公衆浴場法におけるサウナに係る許可等のあり方調査研究に関する検討会」の報告書によると、多くの自治体で条件の緩和が進んでおり、サウナ開業の許可が柔軟になってきていることが判明しました。
報告書によると、157自治体のうち25%がアウトドアサウナに対する基準を緩和していることがわかっています。
検討会の報告書には、条件緩和の事例集も掲載されており、今後の許認可判断の際の参考となるため、許認可の規制がさらに緩和される可能性があります。
山梨では県が規制緩和
2024年7月、アウトドアサウナの「聖地」を目指す山梨県は公衆浴場の施設基準を緩和し、設置しやすくするとして県条例の内容を改正しました。
山梨県はテントサウナなどの屋外サウナ利用について
- 水着を着用する場合、目隠しを不要とする
- 飲料水はペットボトルで提供することを認める
などの改正を検討しており、関連する条例の改正案を6月末に議会に提案する予定です。
この規制緩和は、観光需要の回復策として2021年から始まった「やまなし自然サウナととのいプロジェクト」の一環です。
他の地域でも同様の動きが見られ、北海道では2023年秋に屋外サウナの規制を大幅に緩和し、目隠しや脱衣所の設置を必須としないなどの措置を導入しています。
長野県でも、知事がサウナ設置に関する新しいガイドラインの作成を提案するなど、規制緩和に積極的な姿勢を示しています。
参考記事:
水着なら目隠しなしでOK 屋外サウナの規制緩和へ 山梨
山梨をアウトドアサウナの聖地に 条例改正で囲い不要へ、もっと自然満喫して
屋外サウナに規制、知事「長野から率先して改革を」
北海道で屋外サウナ規制緩和進む
まとめ
近年、山梨県や北海道をはじめ、多くの自治体がサウナに対する公衆浴場法の基準を柔軟に見直しており、これによりサウナ開業のハードルが低くなっています。
特にテントサウナ等を用いた「アウトドアサウナ」ビジネスへの参入チャンスが大きく広がっていますね。
アウトドアサウナは施設を開業するよりも初期費用も抑えられるという点で、おすすめできるビジネスプランです。
ただし、自治体ごとの規制は異なるため、事前に保健所へ相談し、計画を進めてください。
規制や補助金、設置工事に関する最新情報をしっかり把握し、着実にサウナ事業を成功へ導きましょう!
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